衛生管理者の過去問の解説:労働生理(2020年4月) | 衛生管理者 講習会・通信講座

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衛生管理者の過去問の解説:労働生理(2020年4月)

ここでは、2020年(令和2年)4月公表の過去問のうち「労働生理」の10問について解説いたします。
この過去問は、第1種衛生管理者、第2種衛生管理者の試験の範囲です。
なお、特例第1種衛生管理者試験の範囲には含まれません。

それぞれの科目の解説は、下記ページからどうぞ。

衛生管理者の過去問の解説:関係法令:有害(2020年4月)
衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:有害(2020年4月)
衛生管理者の過去問の解説:関係法令:一般(2020年4月)
衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:一般(2020年4月)
衛生管理者の過去問の解説:労働生理(2020年4月)



問21 呼吸に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)呼吸運動は、横隔膜、肋(ろっ)間筋などの呼吸筋が収縮と弛(し)緩をすることにより行われる。
(2)胸郭内容積が増し、内圧が低くなるにつれ、鼻腔(くう)、気管などの気道を経て肺内へ流れ込む空気が吸気である。
(3)肺胞内の空気と肺胞を取り巻く毛細血管中の血液との間で行われるガス交換を外呼吸という。
(4)通常の呼吸の場合の呼気には、酸素が約16%、二酸化炭素が約4%含まれる。
(5)身体活動時には、血液中の窒素分圧の上昇により呼吸中枢が刺激され、1回換気量及び呼吸数が増加する。


答え(5)
(1)(2)(3)(4)は正しい。
(5)は誤り。肉体労働など身体活動時に1回換気量および呼吸数が増加し、呼吸が激しくなるのは、血液中の「二酸化炭素」が増加して呼吸中枢が刺激され、肺でのガス交換の量が多くなるためです。



問22 感覚又は感覚器に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)物理化学的な刺激の量と人間が意識する感覚の強度とは、直線的な比例関係にある。
(2)皮膚感覚には、触圧覚、痛覚、温度感覚(温覚・冷覚)などがあり、これらのうち冷覚を感じる冷覚点の密度は他の感覚点に比べて高い。
(3)網膜の錐(すい)状体は明るい所で働き色を感じ、杆(かん)状体は暗い所で働き弱い光、明暗を感じる。
(4)眼軸が短過ぎるために、平行光線が網膜の後方で像を結ぶ状態は近視である。
(5)平衡感覚に関係する器官である前庭及び半規管は、中耳にあって、体の傾きや回転の方向を知覚する。


答え(3)
(1)は誤り。物理化学的な刺激の量と人間が意識する感覚の強度との関係は、一般に、直線的な比例関係になりません。
(2)は誤り。皮膚の感覚器官のうち、痛覚を生じる「痛覚点」の密度は、他の感覚点に比べて大きいことがわかっています。
(3)は正しい。
(4)は誤り。眼軸が短過ぎるために、平行光線が網膜の後方で像を結ぶものを「遠視」といいます。
(5)は誤り。「内耳」にある前庭は体の傾きの方向や大きさを感じ、半規管は体の回転の方向や速度を感じる平衡感覚器です。



問23 代謝に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)代謝において、細胞に取り入れられた体脂肪やグリコーゲンなどが分解されてエネルギーを発生し、ATPが合成されることを同化という。
(2)代謝において、体内に摂取された栄養素が、種々の化学反応によって、ATPに蓄えられたエネルギーを用いて、細胞を構成する蛋(たん)白質などの生体に必要な物質に合成されることを異化という。
(3)基礎代謝は、心臓の拍動、呼吸運動、体温保持などに必要な代謝で、基礎代謝量は、睡眠・横臥(が)・安静時の測定値で表される。
(4)エネルギー代謝率は、一定時間中に体内で消費された酸素と排出された二酸化炭素の容積比で表される。
(5)エネルギー代謝率の値は、体格、性別などの個人差による影響は少なく、同じ作業であれば、ほぼ同じ値となる。


答え(5)
(1)は誤り。代謝において、体内に摂取された栄養素が、種々の化学反応によって、細胞を構成する蛋白質などの生体に必要な物質に合成されることを同化といいます。
(2)は誤り。代謝において、細胞内に蓄えられた体脂肪やグリコーゲンなどが分解されエネルギーが発生する過程を異化といいます。
(3)は誤り。基礎代謝量は、横臥の姿勢で、安静を保ち、「覚醒」しているときの測定値で表されます。
(4)は誤り。エネルギー代謝率は、作業に要したエネルギー量を基礎代謝量で割ったものになります。
(5)は正しい。



問24 次のAからDの消化酵素について、蛋(たん)白質の消化に関与しているものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A トリプシン
B ペプシン
C アミラーゼ
D リパーゼ

(1)A,B
(2)A,C
(3)B,C
(4)B,D
(5)C,D


答え(1)
Aトリプシン、Bペプシンは、蛋白質の消化酵素です。
Cアミラーゼは、炭水化物の消化酵素です。Dリパーゼは、脂肪の消化酵素です。



問25 腎臓又は尿に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)血中の老廃物は、尿細管からボウマン嚢(のう)に濾(こ)し出される。
(2)血中の蛋(たん)白質は、糸球体からボウマン嚢に濾し出される。
(3)血中のグルコースは、糸球体からボウマン嚢に濾し出される。
(4)原尿中に濾し出された電解質の多くは、ボウマン嚢から血中に再吸収される。
(5)原尿中に濾し出された水分の大部分は、そのまま尿として排出される。


答え(3)
(1)は誤り。腎小体を通る血液中の血球および蛋白質以外の成分(水分、電解質(ナトリウム、カリウム等)、グルコース(糖)、老廃物)は、「糸球体」から「ボウマン嚢」中に濾し出され、原尿が生成されます。
(2)は誤り。(1)の解答を参照してください。
(3)は正しい。
(4)は誤り。原尿は、その通り道である尿細管に入りますが、原尿に含まれる大部分の水分、電解質、糖やアミノ酸などの栄養物質が「尿細管」において血液中に再吸収されます。
(5)は誤り。(4)の解答を参照してください。



問26 筋肉に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)横紋筋は、骨に付着して身体の運動の原動力となる筋肉で意志によって動かすことができるが、平滑筋は、心筋などの内臓に存在する筋肉で意志によって動かすことができない。
(2)筋肉は神経からの刺激によって収縮するが、神経より疲労しにくい。
(3)荷物を持ち上げたり、屈伸運動を行うときは、筋肉が長さを変えずに外力に抵抗して筋力を発生させる等尺性収縮が生じている。
(4)強い力を必要とする運動を続けていると、筋肉を構成する個々の筋線維の太さは変わらないが、その数が増えることによって筋肉が太くなり筋力が増強する。
(5)筋肉自体が収縮して出す最大筋力は、筋肉の断面積1cm2当たりの平均値でみると、性差がほとんどない。


答え(5)
(1)は誤り。心臓の筋肉である心筋は不随意筋に属しますが、自律神経により支配されている横紋筋で構成されています。
(2)は誤り。筋肉は、神経から送られてくる刺激によって収縮しますが、神経に比べて疲労しやすいという特徴を持っています。
(3)は誤り。荷物を持ち上げたり、屈伸運動をするとき、関節運動に関与する筋肉には、「等張性収縮」が生じています。
(4)は誤り。強い力を必要とする運動を続けていても、筋線維の数は、大人になってからは増えないとされていますが、筋肉を構成する個々の筋線維の太さが太くなることによって、筋肉が太くなり筋力が増加します。
(5)は正しい。



問27 血液に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)赤血球は、骨髄で産生され、寿命は約120日であり、血球の中で最も多い。
(2)血液中に占める赤血球の容積の割合をヘマトクリットといい、貧血になるとその値は高くなる。
(3)好中球は、白血球の約60%を占め、偽足を出してアメーバ様運動を行い、体内に侵入してきた細菌などを貪食する。
(4)血小板は、直径2~3μmの不定形細胞で、止血作用をもつ。
(5)ABO式血液型は、赤血球の血液型分類の一つで、A型の血清は抗B抗体をもつ。


答え(2)
(1)(3)(4)(5)は正しい。
(2)は誤り。ヘマトクリット値は、男性では約45%、女性では約40%と男女差があり、貧血になるとその値は「低く」なります。



問28 免疫についての次の文中の[  ]内に入れるAからEの語句の組合せとして、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。

「体内に侵入した病原体などの異物を、[ A ]が、[ B ]と認識し、その[ B ]に対してだけ反応する[ C ]を血漿(しょう)中に放出する。
この[ C ]が[ B ]に特異的に結合し[ B ]の働きを抑制して体を防御するしくみを[ D ]免疫と呼ぶ。
これに対し、[ A ]が直接、病原体などの異物を攻撃する免疫反応もあり、これを[ E ]免疫と呼ぶ。」

(1)A:リンパ球 B:抗原 C:抗体 D:細胞性 E:体液性
(2)A:リンパ球 B:抗原 C:抗体 D:体液性 E:細胞性
(3)A:リンパ球 B:抗体 C:抗原 D:体液性 E:細胞性
(4)A:血小板  B:抗原 C:抗体 D:細胞性 E:体液性
(5)A:血小板  B:抗体 C:抗原 D:細胞性 E:体液性


答え(2)
「体内に侵入した病原体などの異物を、[リンパ球]が、[抗原]と認識し、その、[抗原]に対してだけ反応する、[抗体]を血漿中に放出する。 この[抗体][抗原]に特異的に結合し[抗原]の働きを抑制して体を防御するしくみを[体液性]免疫と呼ぶ。 これに対し、[リンパ球]が直接、病原体などの異物を攻撃する免疫反応もあり、これを[細胞性]免疫と呼ぶ。」



問29 体温調節に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)寒冷な環境においては、皮膚の血管が拡張して血流量を増し、皮膚温を上昇させる。
(2)暑熱な環境においては、内臓の血流量が増加し体内の代謝活動が亢(こう)進することにより、人体からの熱の放散が促進される。
(3)体温調節のように、外部環境が変化しても身体内部の状態を一定に保つ生体の仕組みを同調性といい、筋肉と神経系により調整されている。
(4)体温調節中枢は、小脳にあり、熱の産生と放散とのバランスを維持し体温を一定に保つよう機能している。
(5)熱の放散は、放射(ふく射)、伝導、蒸発などの物理的な過程で行われ、蒸発には、発汗と不感蒸泄(せつ)によるものがある。


答え(5)
(1)は誤り。寒冷にさらされ体温が正常以下になると、体内の代謝活動が増加することにより熱の生産量を増やし、皮膚の血管が収縮して皮膚の血流量を減少し、皮膚温を低下させ人体からの放熱が抑制されます。
(2)は誤り。高温にさらされ、体温が正常以上に上昇すると、内臓の血流量が減少し体内の代謝活動が減少することにより熱の生産量を減らし、皮膚の血管を拡張し、皮膚の血液量を増加させ人体からの放熱が促進されます。
(3)は誤り。体温調節にみられるように、外部環境などが変化しても身体内部の状態を一定に保つ仕組みを恒常性(ホメオスタシス)といい、主に神経系と内分泌系により調節されています。
(4)は誤り。体温調節中枢は、間脳の視床下部にあり、熱を生産する産熱と熱を放出する放熱とのバランスを維持し体温を一定に保つよう機能しています。
(5)は正しい。



問30 自律神経系に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)自律神経系は、内臓、血管などの不随意筋に分布している。
(2)自律神経である交感神経と副交感神経は、同一器官に分布していても、その作用はほぼ正反対である。
(3)自律神経系の中枢は、脳幹及び脊髄にある。
(4)消化管に対しては、交感神経の亢進は運動を促進させ、副交感神経の亢(こう)進は運動を抑制させる。
(5)心臓に対しては、交感神経の亢進は心拍数を増加させ、副交感神経の亢進は心拍数を減少させる。


答え(4)
(1)(2)(3)(5)は正しい。
(4)は誤り。交感神経系は消化管の運動を抑制します。一方、副交感神経系は消化管の運動を亢進します。

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