衛生管理者の過去問の解説:関係法令:有害(2025年4月) | 衛生管理者 講習会・通信講座

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衛生管理者の過去問の解説:関係法令:有害(2025年4月)

ここでは、2025年(令和7年)4月公表の過去問のうち「関係法令:有害(有害業務に係るもの)」の10問について解説いたします。
この過去問は、第1種衛生管理者、特例第1種衛生管理者の試験の範囲です。
なお、第2種衛生管理者試験の範囲には含まれません。

それぞれの科目の解説は、下記ページからどうぞ。

衛生管理者の過去問の解説:関係法令:有害(2025年4月)
◆衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:有害(2025年4月)
◆衛生管理者の過去問の解説:関係法令:一般(2025年4月)
◆衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:一般(2025年4月)
◆衛生管理者の過去問の解説:労働生理(2025年4月)



問1 常時600人の労働者を使用する製造業の事業場における衛生管理体制に関する(1)~(5)の記述のうち、法令上、誤っているものはどれか。
ただし、600人中には、製造工程において次の業務に常時従事する者がそれぞれに示す人数含まれているが、試験研究の業務はなく、他の有害業務はないものとし、衛生管理者及び産業医の選任の特例はないものとする。

深夜業を含む業務 …………………………………………300人
多量の低温物体を取り扱う業務 …………………………100人
特定化学物質のうち第三類物質を製造する業務 ……… 20人

(1)衛生管理者は、3人以上選任しなければならない。
(2)衛生管理者のうち1人を、衛生工学衛生管理者免許を受けた者のうちから選任しなければならない。
(3)衛生管理者のうち少なくとも1人を、専任の衛生管理者としなければならない。
(4)産業医としての法定の要件を満たしている医師で、この事業場に専属でないものを産業医として選任することができる。
(5)特定化学物質作業主任者を選任しなければならない。


答え(2)
この問題は、2022年10月公表の問題と同じ問題です。

(1)は正しい。常時500人を超え1,000人以下の労働者を使用する事業場では、3人以上の衛生管理者を選任しなければなりません。

(2)は誤り。常時500人を超える労働者を使用する事業場で、多量の高熱物体を取り扱う業務などに常時30人以上の労働者を従事させる事業場では、衛生管理者のうち1人を、衛生工学衛生管理者免許を受けた者のうちから選任しなければなりません。ただし、選択肢にある「多量の低温物体を取り扱う業務」は、衛生工学衛生管理者免許を受けた者のうちから選任しなければならない有害業務に該当しません

(3)は正しい。常時500人を超える労働者を使用する事業場で、多量の低温物体を取り扱う業務などに常時30人以上の労働者を従事させる事業場では、衛生管理者のうち少なくとも1人を、専任の衛生管理者として選任しなければなりません。

(4)は正しい。常時1,000人以上の労働者を使用する事業場、または深夜業を含む業務などに常時500人以上の労働者を従事させる事業場では、産業医は、その事業場に専属の者でなければなりません。この事業場では、いずれの条件にも該当しませんので、専属でないものを産業医として選任することができます。

(5)は正しい。特定化学物質を取り扱う事業場(試験研究の業務を除く)においては、事業場の規模、業種、その類にかかわらず、特定化学物質作業主任者を選任しなければなりません。



問2 次の設備又は装置のうち、法令に基づく定期自主検査の実施頻度が1年以内ごとに1回とされていないものはどれか。

(1)鉛化合物を製造する工程において鉛等の溶融を行う屋内の作業場所に設置した局所排気装置
(2)セメントを袋詰めする屋内の作業箇所に設置した局所排気装置に設けた除じん装置
(3)トルエンを用いて洗浄を行う屋内の作業場所に設置したプッシュプル型換気装置
(4)弗(ふっ)化水素を含有する気体を排出する製造設備の排気筒に設置した排ガス処理装置
(5)硫酸を取り扱う特定化学設備


答え(5)
(1)(2)(3)(4)の局所排気装置、除じん装置、プッシュプル型換気装置、排ガス処理装置については、1年以内ごとに1回、定期自主検査を実施しなければなりません。
(5)の特定化学設備またはその附属設備については、2年以内ごとに1回、定期自主検査を実施しなければなりません。



問3 厚生労働大臣が定める規格を具備しなければ、譲渡し、貸与し、又は設置してはならない機械等に該当しないものは、次のうちどれか。

(1)潜水器
(2)一酸化炭素用防毒マスク
(3)ろ過材及び面体を有する防じんマスク
(4)放射性物質による汚染を防止するための防護服
(5)排気量40cm3以上の内燃機関を内蔵するチェーンソー


答え(4)
(1)(2)(3)(5)は、規格の適合が求められる機械等に該当します。
(4)は該当しない。放射性物質による汚染を防止するための防護服は、放射線を帯びた粉じんが皮膚に付着するのを防ぎ、体内被ばくのリスクを低減するために使用されます。フード付きで頭部から足元まで全身を覆う構造となっており、「衣類」や「髪の毛」を汚染から保護する設計が一般的です。



問4 次の免許のうち、労働安全衛生法令に定められていないものはどれか。

(1)潜水士免許
(2)高圧室内作業主任者免許
(3)エックス線作業主任者免許
(4)石綿作業主任者免許
(5)ガンマ線透過写真撮影作業主任者免許


答え(4)
(4)は定められていない。石綿作業主任者は、技能講習を修了することによってその資格を取得できるもので免許ではありません。
(1)(2)(3)(5)は定められている。潜水士免許などは、潜水士免許試験に合格した者に与えられます。

●労働安全衛生法令に定める主な免許
・第一種衛生管理者免許
・第二種衛生管理者免許
・衛生工学衛生管理者免許
高圧室内作業主任者免許
エックス線作業主任者免許
ガンマ線透過写真撮影作業主任者免許
潜水士免許 ほか

●労働安全衛生法令に定める主な技能講習
・特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習
・鉛作業主任者技能講習
・有機溶剤作業主任者技能講習
・石綿作業主任者技能講習
・酸素欠乏危険作業主任者技能講習
・酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習 ほか



問5 労働安全衛生規則の衛生基準について、誤っているものは次のうちどれか。

(1)著しい騒音を発する一定の屋内作業場については、6か月以内ごとに1回、定期に、等価騒音レベルを測定しなければならない。
(2)硫化水素濃度が5ppmを超える場所には、関係者以外の者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければならない。
(3)廃棄物の焼却施設において焼却灰を取り扱う業務(設備の解体等に伴うものを除く。)を行う作業場については、6か月以内ごとに1回、定期に、当該作業場における空気中のダイオキシン類の濃度を測定しなければならない。
(4)屋内作業場に多量の熱を放散する溶融炉があるときは、加熱された空気を直接屋外に排出し、又はその放射するふく射熱から労働者を保護する措置を講じなければならない。
(5)著しく暑熱又は多湿の作業場においては、坑内等特殊な作業場でやむを得ない事由がある場合を除き、休憩の設備を作業場外に設けなければならない。


答え(2)
(1)(3)(4)(5)は正しい。
(2)は誤り。硫化水素濃度が10ppm(100万分の10)を超える場所には、関係者以外の者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければなりません。5ppmではありません。



問6 特定化学物質障害予防規則による特別管理物質を製造する事業者が事業を廃止しようとするとき、法令に基づき実施した措置に関する次のAからEの記録等について、特別管理物質等関係記録等報告書に添えて、所轄労働基準監督署長に提出することが、法令上、定められているものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A 特別管理物質を製造する作業場所に設けられた密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置の定期自主検査の記録又はその写し
B 特別管理物質を製造する作業場において、労働者が常時従事した作業の概要及び当該作業に従事した期間等の記録又はその写し
C 特別管理物質を製造する屋内作業場について行った作業環境測定の記録又はその写し
D 特別管理物質を製造し、又は取り扱う作業に係る特定化学物質作業主任者の選任の記録又はその写し
E 特別管理物質を製造する業務に常時従事する労働者に対し行った特定化学物質健康診断の結果に基づく特定化学物質健康診断個人票又はその写し

(1)A,B,D
(2)A,C,D
(3)A,C,E
(4)B,C,E
(5)B,D,E


答え(4)

「特定化学物質障害予防規則」において、特別管理物質の製造を行う事業者が事業を廃止する際には、以下の記録を所轄労働基準監督署長に提出する必要があります。

B 特別管理物質を製造する作業場における労働者の従事状況の記録は、労働者がどのような作業に従事し、その期間がどの程度であったかを把握するために必要です。

C 特別管理物質を製造する屋内作業場について行った作業環境測定の記録は、作業場の環境が適正に管理されていたことを示すために必要であり、提出が求められます。

E 特定化学物質健康診断の個人票は、健康診断の結果が適切に記録されていたかを確認するために必要です。

A,Dは誤り。たとえば、定期自主検査は、1年以内ごとに1回行い、その記録を3年間保存することが定められています。しかし、所轄労働基準監督署長への提出は義務付けられていません。



問7 労働安全衛生法において、譲渡し、又は提供するときに名称等の表示が義務付けられている危険物及び有害物(以下「表示対象物質」という。)の表示の方法等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)表示対象物質を容器に入れ、又は包装して、譲渡し、又は提供するときは、その容器又は包装に名称等を表示しなければならない。
(2)表示対象物質を容器に入れ、かつ、包装して、譲渡し、又は提供するときは、その包装に名称等を表示しなければならない。
(3)表示対象物質を容器に入れ、又は包装する以外の方法により譲渡し、又は提供するときは、表示すべき事項を記載した文書を、譲渡し、又は提供する相手方に交付しなければならない。
(4)容器又は包装に表示事項等の全てを印刷し、又は表示事項等の全てを印刷した票箋を貼り付けることが困難なときは、表示事項等のうち名称以外のものについては、これらを印刷した票箋を容器又は包装に結びつけることにより表示することができる。
(5)表示対象物質を原材料等として新規に採用し、又は変更するときは、当該物質による危険性又は有害性等を調査しなければならない。


答え(2)
(1)(3)(4)(5)は正しい。
(2)は誤り。表示対象物質を容器に入れ、かつ、包装して、譲渡し、または提供するときにあっては、その容器に表示しなければなりません。



問8 酸素欠乏症等防止規則に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)第一種酸素欠乏危険作業を行う作業場については、その日の作業を開始する前に、当該作業場における空気中の硫化水素の濃度を測定しなければならない。
(2)し尿を入れたことのあるポンプを修理する場合で、これを分解する作業に労働者を従事させるときは、指揮者を選任し、作業を指揮させなければならない。
(3)酸素又は硫化水素の濃度が法定の基準を満たすようにするために酸素欠乏危険作業を行う場所を換気するときは、純酸素を使用してはならない。
(4)労働者が酸素欠乏症等にかかったときは、遅滞なく、その旨を当該作業を行う場所を管轄する労働基準監督署長に報告しなければならない。
(5)酸素欠乏危険作業に労働者を従事させるときは、労働者を当該作業を行う場所に入場させ、及び退場させる時に、人員を点検しなければならない。


答え(1)
(1)は誤り。第一種酸素欠乏危険作業を行う作業場については、その日の作業を開始する前に、当該作業場における空気中の酸素の濃度を測定しなければなりません。硫化水素の濃度を測定は、誤りです。
(2)(3)(4)(5)は正しい。



問9 次の法定の作業環境測定を行うとき、作業環境測定士に測定を実施させなければならないものはどれか。

(1)チッパーによりチップする業務を行う屋内作業場における等価騒音レベルの測定
(2)放射線業務を行う作業場のうち管理区域に該当する部分についての外部放射線による線量当量の測定
(3)常時セメントを袋詰めする作業を行う屋内作業場における空気中の粉じん濃度の測定
(4)溶融ガラスからガラス製品を成型する業務を行う屋内作業場における気温、湿度及びふく射熱の測定
(5)通気設備が設けられている坑内の作業場における通気量の測定


答え(3)
(1)(2)(4)(5)の測定は、作業環境測定士に測定を実施させる義務はありません。
(3)常時セメントを袋詰めする作業を行う屋内作業場における空気中の粉じん濃度の測定は、作業環境測定士に測定を実施させなければなりません。屋内作業場で、常時セメントを袋詰めする作業は、作業環境測定が必要な特定粉じん発生源での作業に該当します。



問10 労働基準法に基づく時間外労働に関する協定を締結し、所轄労働基準監督署長への届出を行うとき、延長する労働時間が1日について2時間以内に制限されない業務は、次のうちどれか。

(1)著しく暑熱な場所における業務
(2)ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務
(3)ヘリウム、アルゴン等の不活性の気体を入れたことのあるタンクの内部における業務
(4)土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務
(5)削岩機、鋲(びょう)打機等の使用によって身体に著しい振動を与える業務


答え(3)
(1)(2)(4)(5)は、延長する労働時間が1日について2時間以内に制限される業務です。
(3)は、酸素欠乏危険場所における業務ですが、延長する労働時間が1日について2時間以内に制限されません。

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