衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:有害(2025年4月) | 衛生管理者 講習会・通信講座

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衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:有害(2025年4月)

ここでは、2025年(令和7年)4月公表の過去問のうち「労働衛生:有害(有害業務に係るもの)」の10問について解説いたします。
この過去問は、第1種衛生管理者、特例第1種衛生管理者の試験の範囲です。
なお、第2種衛生管理者試験の範囲には含まれません。

それぞれの科目の解説は、下記ページからどうぞ。

衛生管理者の過去問の解説:関係法令:有害(2025年4月)
衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:有害(2025年4月)
◆衛生管理者の過去問の解説:関係法令:一般(2025年4月)
◆衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:一般(2025年4月)
◆衛生管理者の過去問の解説:労働生理(2025年4月)



問11 厚生労働省の「化学物質等による危険性又は有害性等の調査等に関する指針」に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)リスクアセスメントの基本的手順のうち最初に実施するのは、労働者の就業に係るリスクアセスメント対象物による危険性又は有害性を特定することである。
(2)リスクの見積りに当たっては、過去に実際に発生した負傷又は疾病の重篤度ではなく、最悪の状況を想定した最も重篤な負傷又は疾病の重篤度を見積もる。
(3)リスクアセスメント対象物による疾病について、当該物質への労働者のばく露濃度等を測定し、ばく露量をばく露限界と比較しリスクを見積もる場合、ばく露限界としては、管理濃度が最も適している。
(4)リスクアセスメント対象物による疾病のリスク低減措置の検討では、作業手順の改善、立入禁止等の管理的対策よりも局所排気装置の設置等の衛生工学的対策を優先する。
(5)リスクアセスメント対象物による疾病のリスク低減措置の検討に当たっては、より優先順位の高い措置を実施することにした場合であって、当該措置により十分にリスクが低減される場合には、当該措置よりも優先順位の低い措置の検討は必要ない。


答え(3)
(1)(2)(4)(5)は正しい。
(3)は誤り。リスクアセスメント対象物による疾病について、当該物質への労働者のばく露濃度等を測定し、ばく露量をばく露限界と比較しリスクを見積もる場合、ばく露限界としては、許容濃度などを用います。



問12 化学物質とその常温・常圧(25℃、1気圧)での空気中における状態との組合せとして、誤っているものは次のうちどれか。
ただし、ガスとは、常温・常圧で気体のものをいい、蒸気とは、常温・常圧で液体又は固体の物質が蒸気圧に応じて揮発又は昇華して気体となっているものをいうものとする。

(1)ホルムアルデヒド ……………………… ガス
(2)塩素 ……………………………………… ガス
(3)塩化ビニル ……………………………… ガス
(4)二酸化硫黄 ……………………………… 蒸気
(5)二硫化炭素 ……………………………… 蒸気


答え(4)
(1)(2)(3)(5)は正しい。
(4)は誤り。二酸化硫黄は常温・常圧で液体にはならず、気体の「ガス」です。



問13 有機溶剤に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)有機溶剤の蒸気は、空気より重いため、地下室やピットなどの通気が不十分な場所では滞留しやすい。
(2)有機溶剤は、全て脂溶性があるほか、揮発性及び引火性があるものが多い。
(3)有機溶剤による障害のうち、皮膚や粘膜の症状には、皮膚の角化、結膜炎などがある。
(4)低濃度の有機溶剤の繰り返しばく露では、頭痛、めまい、記憶力減退、不眠などの不定愁訴がみられる。
(5)メタノールによる障害として顕著なものは、網膜微細動脈瘤(りゅう)を伴う脳血管障害である。


答え(5)
(1)(2)(3)(4)は正しい。
(5)は誤り。メタノール中毒で特徴的なのは「視神経障害や失明」であり、網膜微細動脈瘤や脳血管障害ではありません。



問14 電離放射線による健康影響に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)電離放射線の被ばくによる生体への影響には、身体的影響と遺伝的影響がある。
(2)電離放射線の被ばくによる身体的影響のうち、白内障は晩発障害に分類される。
(3)電離放射線に被ばく後、数週間程度までに現れる造血器系障害は、急性障害に分類される。
(4)電離放射線の被ばくによる発がんと遺伝的影響は、確率的影響に分類され、症状の程度は線量に依存する。
(5)造血器、生殖腺、腸粘膜など頻繁に細胞分裂している組織・臓器は、電離放射線の影響を受けやすい。


答え(4)
(1)(2)(3)(5)は正しい。
(4)は誤り。確率的影響(発がん・遺伝的影響)は、発症確率は線量依存(比例関係)ですが、症状の重症度は一般に線量に依存しません



問15 金属などによる健康障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)カドミウム中毒では、上気道炎、肺炎、腎機能障害などがみられる。
(2)鉛中毒では、貧血、末梢(しょう)神経障害、腹部の疝(せん)痛などの症状がみられる。
(3)砒(ひ)素中毒では、角化症、黒皮症などの皮膚障害、鼻中隔穿(せん)孔などの症状がみられる。
(4)ベリリウム中毒では、接触皮膚炎、肺炎などの症状がみられる。
(5)マンガン中毒では、指の骨の溶解、肝臓の血管肉腫などがみられる。


答え(5)
(1)(2)(3)(4)は正しい。
(5)は誤り。マンガン中毒では「パーキンソン様症状」の神経障害があり、骨溶解や肝血管肉腫は通常みられません。



問16 作業環境における有害要因による健康障害に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)マイクロ波は、赤外線より波長が短い電磁波で、照射部位の組織を加熱する作用がある。
(2)全身振動障害では、レイノー現象などの末梢(しょう)循環障害や手指のしびれ感などの末梢(しょう)神経障害がみられ、局所振動障害では、関節痛などの筋骨格系障害がみられる。
(3)熱けいれんは、大量の発汗時に水を補給することで血中の塩分濃度が低下することによって生じ、こむら返り、立ちくらみなどもみられる。
(4)減圧症は、潜函(かん)作業者や潜水作業者などに発症するもので、高圧下作業からの減圧に伴い、血液中や組織中に溶け込んでいた二酸化炭素の気泡化が関与して発生し、皮膚のかゆみ、関節痛、神経の麻痺(ひ)などの症状がみられる。
(5)けい肺は、鉄、アルミニウムなどの金属粉じんによる肺の線維増殖性変化で、けい肺結節という線維性の結節が形成される。


答え(3)
(1)は誤り。マイクロ波は、赤外線より波長が長く、加熱作用があります。
(2)は誤り。通常は局所振動により、血管・神経・筋骨格系障害が起こります。全身振動障害としては、腰痛や頸部痛といった脊柱障害などが起こります。
(3)は正しい。熱けいれんを予防するには、水分と塩分(ナトリウム)の摂取が有効です。
(4)は誤り。減圧症の原因は窒素の気泡化であり、二酸化炭素ではありません。
(5)は誤り。じん肺の中でも、けい肺二酸化ケイ素粉じんによる肺組織の線維化です。鉄、アルミニウムなどの金属粉じんが原因ではありません。



問17 化学物質による健康障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)一酸化炭素による中毒では、ヘモグロビン合成の障害による貧血、溶血などがみられる。
(2)二酸化窒素による健康障害では、肺水腫、気管支炎などがみられる。
(3)シアン化水素による中毒では、細胞内での酸素利用の障害による呼吸困難、けいれんなどがみられる。
(4)硫化水素による健康障害では、脳神経細胞の障害による意識消失、呼吸麻痺(ひ)などがみられる。
(5)弗(ふっ)化水素による慢性中毒では、骨の硬化、斑状歯などがみられる。


答え(1)
(1)は誤り。一酸化炭素中毒はヘモグロビンによる酸素運搬阻害であり、「ヘモグロビン合成障害」や「溶血」ではありません。
(2)は正しい。二酸化窒素による急性中毒で、肺水腫や気管支炎が起きます。
(3)は正しい。シアン化水素は、ミトコンドリアでの酸素利用を阻害します。
(4)は正しい。硫化水素は、呼吸抑制や意識障害を起こします。
(5)は正しい。弗化水素では、骨硬化や歯の斑状変化が報告されています。



問18 厚生労働省の「作業環境測定基準」及び「作業環境評価基準」に基づく作業環境測定及びその結果の評価に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)作業環境測定を実施する場合の単位作業場所は、労働者の作業中の行動範囲、有害物の分布の状況などに基づいて設定する。
(2)許容濃度は、有害物質に係る作業環境の状態を、単位作業場所ごとにその作業環境測定結果から評価するための指標として定められている。
(3)A測定は、単位作業場所における有害物質の気中濃度の平均的な分布を知るために行う測定である。
(4)B測定は、単位作業場所中の有害物質の発散源に近接する場所で作業が行われる場合において、空気中の有害物質の最高濃度を知るために行う測定である。
(5)A測定とB測定を併せて行う場合は、A測定の測定値を用いて求めた第一評価値及び第二評価値並びにB測定の測定値に基づき、単位作業場所を第一管理区分から第三管理区分までのいずれかに区分する。


答え(2)
(1)(3)(4)(5)は正しい。
(2)は誤り。作業環境測定結果の評価に用いられる指標は、管理濃度です。許容濃度ではありません。



問19 労働衛生保護具に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)直結式防毒マスクは、隔離式防毒マスクよりも有害ガスの濃度が高い大気中で使用することができる。
(2)吸気補助具付き防じんマスクは、吸気補助具によって清浄な空気を送る機能がある防じんマスクである。
(3)酸素濃度18%未満の場所で使用できる呼吸用保護具には、送気マスク、空気呼吸器のほか、酸素呼吸器がある。
(4)遮光保護具は、溶接作業における紫外線などによる眼の障害を防ぐために使用する。
(5)保護クリームは、作業中に有害な物質が直接皮膚に付着しないようにする目的で塗布するものである。


答え(1)
(1)は誤り。直結式防毒マスクより、隔離式の方が高濃度の有害ガスに対応している吸収缶を用いるため、隔離式の方が有害ガス濃度が高い環境で使用できます。
(2)(3)(4)(5)は正しい。



問20 特殊健康診断に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)有害物質による健康障害は、多くの場合、諸検査の異常などの他覚的所見より、自覚症状が先に出現するため、特殊健康診断では問診の重要性が高い。
(2)特殊健康診断における生物学的モニタリングによる検査は、有害物の体内摂取量や有害物による健康影響の程度を把握するための検査である。
(3)体内に取り込まれた有機溶剤の生物学的半減期は、数か月と長いので、有機溶剤健康診断における採尿は、任意の時期に行ってよい。
(4)体内に取り込まれた鉛の生物学的半減期は、数時間と短いので、鉛健康診断における採尿及び採血の時期は、厳重にチェックする必要がある。
(5)情報機器作業に係る健康診断では、眼科学的検査などとともに、上肢及び下肢の運動機能の検査を行う。


答え(2)
(1)は誤り。多くの有害作用では他覚的所見(検査異常)が自覚症状より先行することが多く、問診よりも検査が重視されます。
(2)は正しい。生物学的モニタリングは、体内摂取量や影響の把握のために行います。
(3)は誤り。有機溶剤の半減期は数時間~数日と短く、採尿はばく露後速やかに行う必要があります。
(4)は誤り。鉛の半減期は、有機溶剤と異なり長いです。
(5)は誤り。情報機器作業に係る健康診断では、上肢(腕)の運動機能の検査を行いますが、下肢(脚)の運動機能の検査は含まれません

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