衛生管理者の過去問の解説:労働生理(2025年4月) | 衛生管理者 講習会・通信講座

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衛生管理者の過去問の解説:労働生理(2025年4月)

ここでは、2025年(令和7年)4月公表の過去問のうち「労働生理」の10問について解説いたします。
この過去問は、第1種衛生管理者、第2種衛生管理者の試験の範囲です。
なお、特例第1種衛生管理者試験の範囲には含まれません。

それぞれの科目の解説は、下記ページからどうぞ。

衛生管理者の過去問の解説:関係法令:有害(2025年4月)
衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:有害(2025年4月)
衛生管理者の過去問の解説:関係法令:一般(2025年4月)
衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:一般(2025年4月)
衛生管理者の過去問の解説:労働生理(2025年4月)



問21 血液に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)赤血球は、骨髄で産生され、寿命は約120日で、血球の中で最も多い。
(2)リンパ球は、白血球の約30%を占め、Tリンパ球、Bリンパ球などの種類があり、免疫反応に関与している。
(3)好中球は、白血球の約60%を占め、偽足を出してアメーバ様運動を行い、体内に侵入してきた細菌などを貪食する。
(4)血小板は、直径2~3μmの不定形細胞で、止血作用を持つ。
(5)ABO式血液型は、白血球による血液型分類の一つで、A型血液の血清は抗B抗体をもつ。


答え(5)
(1)は正しい。赤血球は骨髄で作られ、寿命は約120日程度であり、血球中で最も数が多い成分です。
(2)は正しい。リンパ球は白血球の約25~30%を占め、T細胞やB細胞に分類され、免疫応答に重要な役割を担います。
(3)は正しい。好中球は白血球の約60%を占め、偽足を伸ばしてアメーバ様運動を行い、細菌などを貪食します。
(4)は正しい。血小板は直径2~3μmの不定形細胞で、止血や血液凝固に関与します。
(5)は誤り。ABO式血液型は赤血球表面の抗原と血清中の抗体の組み合わせで分けられます。
A型の血清には抗B抗体が含まれますが、分類は赤血球上のA抗原やB抗原が基準で、白血球ではありません。



問22 心臓及び血液循環に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)心臓は、自律神経の中枢で発生した刺激が刺激伝導系を介して心筋に伝わることにより、規則正しく収縮と拡張を繰り返す。
(2)肺循環により左心房に戻ってきた血液は、左心室を経て大動脈に入る。
(3)大動脈を流れる血液は動脈血であるが、肺動脈を流れる血液は静脈血である。
(4)心臓の拍動による動脈圧の変動を末梢(しょう)の動脈で触知したものを脈拍といい、一般に、手首の橈(とう)骨動脈で触知する。
(5)動脈硬化とは、コレステロールの蓄積などにより、動脈壁が肥厚・硬化して弾力性を失った状態であり、進行すると血管の狭窄(さく)や閉塞を招き、臓器への酸素や栄養分の供給が妨げられる。


答え(1)
(1)は誤り。心臓の刺激は自律神経ではなく、洞結節(洞房結節)という心臓内の刺激発生系(ペースメーカー)から始まり、それが刺激伝導系を通じて心筋に伝わることで収縮・拡張を規則的に行います。
(2)は正しい。肺循環後に左心房に戻った血液は、左心室を経て大動脈へ送り出されます。
(3)は正しい。大動脈を流れる血液は酸素を多く含む動脈血、肺動脈では肺へ向かう酸素の少ない静脈血が流れます。
(4)は正しい。心拍による動脈の圧変動を末梢動脈で触知したのが脈拍で、通常、手首の橈骨動脈で測ります。
(5)は正しい。動脈硬化とは、脂質などの沈着によって動脈壁が厚く硬くなり、血管が狭窄・閉塞し、臓器への血流障害が起こる状態です。



問23 呼吸に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)呼吸運動は、肋(ろっ)間筋、横隔膜などの呼吸筋によって胸郭内容積を周期的に増減し、それに伴って肺を伸縮させることにより行われる。
(2)胸郭内容積が増し、その内圧が低くなるにつれ、鼻腔(くう)、気管などの気道を経て肺内へ流れ込む空気が吸気である。
(3)肺胞内の空気と肺胞を取り巻く毛細血管中の血液との間で行われるガス交換は、外呼吸である。
(4)呼吸数は、通常、1分間に16~20回で、成人の安静時の1回呼吸量は、約500mLである。
(5)身体活動時には、血液中の二酸化炭素分圧の上昇などにより間脳の視床下部にある呼吸中枢が刺激され、1回換気量及び呼吸数が増加する。


答え(5)
(1)は正しい。肋間筋と横隔膜の収縮・弛緩により胸郭内の体積が変化し、肺が伸縮します。
(2)は正しい。胸郭体積が増大し内圧が低下すると、空気が鼻腔や気管を通じて肺に吸い込まれます。
(3)は正しい。肺胞と毛細血管間の酸素・二酸化炭素の交換が外呼吸にあたります。
(4)は正しい。成人の安静時呼吸数は1分間に約16~20回、1回換気量は約500mLです。
(5)は誤り。呼吸中枢は、延髄にあり、間脳の視床下部にはありません。
身体活動時には、血液中の二酸化炭素分圧の上昇により延髄にある呼吸中枢が刺激され、1回換気量及び呼吸数が増加します。



問24 次のAからDの消化酵素について、蛋(たん)白質の消化に関与しているものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A リパーゼ
B ペプシン
C アミラーゼ
D トリプシン

(1)A,B
(2)A,C
(3)B,C
(4)B,D
(5)C,D


答え(4)
A リパーゼは、脂質分解酵素です。
B ペプシンは、胃で蛋白質を分解します。
C アミラーゼは、炭水化物(デンプン)を分解します。
D トリプシンは、小腸で蛋白質を分解します。
したがって、蛋白質を消化するのはペプシントリプシンです。



問25 体温調節に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)寒冷な環境においては、皮膚の血管が収縮して血流量が減って、熱の放散が減少する。
(2)暑熱な環境においては、内臓の血流量が増加し体内の代謝活動が亢(こう)進することにより、人体からの熱の放散が促進される。
(3)体温調節にみられるように、外部環境などが変化しても身体内部の状態を一定に保とうとする性質を恒常性(ホメオスタシス)という。
(4)計算上、100gの水分が体重70kgの人の体表面から蒸発すると、気化熱が奪われ、体温が約1℃下がる。
(5)熱の放散は、ふく射(放射)、伝導、蒸発などの物理的な過程で行われ、蒸発には、発汗と不感蒸泄(せつ)によるものがある。


答え(2)
(1)(3)(4)(5)は正しい。
(2)は誤り。暑熱環境では皮膚の血管が拡張して皮膚血流が増え、発汗も促されて熱放散が進むものの、「内臓の血流量が増加し代謝活動が亢進する」という記述は誤りです。
内臓血流はむしろ皮膚側に移動する傾向があります。



問26 腎臓・泌尿器系に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)腎臓の腎小体では、糸球体から血液中の蛋白たん 質以外の血漿(しょう)成分がボウマン嚢(のう)に濾(こ)し出され、原尿が生成される。
(2)腎臓の尿細管では、原尿に含まれる大部分の水分及び身体に必要な成分が血液中に再吸収され、残りが尿として生成される。
(3)尿の生成・排出により、体内の水分の量やナトリウムなどの電解質の濃度を調節するとともに、生命活動によって生じた不要な物質を排出する。
(4)血液中の尿素窒素(BUN)の値が低くなる場合は、腎臓の機能の低下が考えられる。
(5)尿の約95%は水分で、約5%が固形物であるが、その成分は全身の健康状態をよく反映するので、尿検査は健康診断などで広く行われている。


答え(4)
(1)は正しい。腎小体において蛋白質以外の血漿成分がろ過され、原尿が生成されます。
(2)は正しい。尿細管では水分や必要な成分が再吸収され、残りが尿として排出されます。
(3)は正しい。尿生成・排出により水・電解質・老廃物の体外排出と濃度調節が行われます。
(4)は誤り。BUN(尿素窒素)は通常、腎機能低下では値が上昇します。
(5)は正しい。尿の約95%が水、5%が溶質であり、尿検査は健康状態の把握に役立ちます。



問27 筋肉に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)筋肉は、神経から送られてくる刺激によって収縮するが、神経に比べて疲労しやすい。
(2)筋収縮には、グリコーゲン、りん酸化合物などのエネルギー源が必要で、特に、直接のエネルギーはATPの加水分解によってまかなわれる。
(3)筋肉が収縮して出す最大筋力は、筋肉の単位断面積当たりの平均値をとると、性差や年齢差はほとんどない。
(4)運動することによって筋肉が太くなることを筋肉の活動性肥大という。
(5)筋肉中のグリコーゲンは、酸素が十分に供給されると完全に分解され、最後に乳酸になる。


答え(5)
(1)は正しい。筋肉は神経刺激で収縮しますが、神経と比べて疲労しやすい性質があります。
(2)は正しい。筋収縮にはグリコーゲンやリン酸化合物が必要で、直接のエネルギー源は ATPの加水分解です。
(3)は正しい。最大筋力を筋肉の断面積で表すと、性差・年齢差は大きな差がありません。
(4)は正しい。運動によって筋肥大が促される現象を「活動性肥大」と呼びます。
(5)は誤り。酸素が十分にあるとグリコーゲンは最終的に炭酸ガスと水になる好気的代謝が進行し、乳酸ではなく二酸化炭素になります。
乳酸は酸素が不足する無酸素代謝で生成されます。



問28 感覚又は感覚器に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)網膜には、色を感じる杆(かん)状体(杆体)と明暗を感じる錐(すい)状体(錐体)という2種類の視細胞が並んでいる。
(2)老視(老眼)とは、加齢によって水晶体が徐々に変性して調節できる範囲が狭まり、近点が遠くなり、遠点が近くなることをいう。
(3)半規管は体の傾きの方向や大きさを感じ、前庭は体の回転の方向や速度を感じる平衡感覚器であり、いずれも内耳にある。
(4)嗅覚は、味覚と同様に物質の化学的性質を認知する感覚であるが、同じ臭気に対して疲労しにくいという特徴がある。
(5)皮膚感覚には触圧覚、温度覚(温覚と冷覚)、痛覚などがあり、これらのうち温覚を感じる場所(温点)は、他の感覚を感じる場所よりも密度が高い。


答え(2)
(1)は誤り。網膜には色を感じる錐状体明暗を感じる杆状体があるため順序が逆になっています。
(2)は正しい。老視では水晶体の弾性が低下して調節力が減り、近点(近くを見る力)が遠ざかります。
(3)は誤り。半規管は回転を、前庭は傾きや直線加速度を感じる受容器で、方向と役割が逆です。
(4)は誤り。嗅覚は味覚と同様に化学感覚で、同じ臭気に対して疲労しやすい(慣れやすい)という特徴があります。
(5)は誤り。温覚を感じる温点は感覚密度として高い方ではなく、痛覚を感じる痛点ほど高密度でないことが知られています。



問29 ストレスに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)個人にとって適度なストレッサーは、身体的には活動の亢(こう)進を、心理的には意欲の向上、満足感、充実感などを生じさせる。
(2)個人の能力や感性に適合しないストレッサーは、心理的には不安、焦燥感、抑うつ感などを、身体的には疲労を生じることがある。
(3)典型的なストレス反応として、副腎皮質ホルモンの分泌の著しい減少がある。
(4)ストレスにより、高血圧症、狭心症、十二指腸潰瘍などの疾患が生じることがある。
(5)昇進、転勤、配置替えなどがストレスの原因となることがある。


答え(3)
(1)(2)(4)(5)は正しい。
(3)は誤り。典型的なストレス反応では副腎皮質ホルモン(コルチゾールなど)が増加します。減少するのは誤りです。



問30 ヒトのホルモン、その内分泌器官及びそのはたらきの組合せとして、誤っているものは次のうちどれか。

A:ホルモン B:内分泌器官 C:はたらき

(1)A:セクレチン B:十二指腸 C:消化液の分泌促進
(2)A:メラトニン B:副腎髄質 C:体液中の塩類バランスの調節
(3)A:パラソルモン B:副甲状腺 C:血中のカルシウム量の調節
(4)A:インスリン B:膵(すい)臓 C:血糖量の減少
(5)A:グルカゴン B:膵(すい)臓 C:血糖量の増加


答え(2)
(1)は正しい。セクレチンは、十二指腸から分泌され、膵液や胆汁の分泌を促進します。
(2)は誤り。メラトニン松果体(脳)で分泌され、睡眠調節に関与し、副腎髄質ではありません。また塩類バランス調節の役割も担いません。
(3)は正しい。パラソルモンは副甲状腺から分泌され、血中カルシウム量を調節します。
(4)は正しい。インスリンは膵臓のランゲルハンス島のβ細胞から分泌され、血糖を低下させます。
(5)は正しい。グルカゴンは膵臓のランゲルハンス島のα細胞から分泌され、血糖量を上げます。

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