衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:有害(2015年10月) | 衛生管理者 講習会・通信講座

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衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:有害(2015年10月)

ここでは、2015年(平成27年)10月公表の過去問のうち「労働衛生:有害(有害業務に係るもの)」の10問について解説いたします。
この過去問は、第一種衛生管理者、特例第一種衛生管理者の試験の範囲です。
なお、第二種衛生管理者試験の範囲には含まれません。

それぞれの科目の解説は、下記ページからどうぞ。

衛生管理者の過去問の解説:関係法令:有害(2015年10月)
衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:有害(2015年10月)
衛生管理者の過去問の解説:関係法令:一般(2015年10月)
衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:一般(2015年10月)
衛生管理者の過去問の解説:労働生理(2015年10月)



問11 化学物質による健康障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)酢酸メチルによる中毒では、再生不良性貧血や白血病がみられる。
(2)ノルマルヘキサンによる中毒では、多発性神経炎がみられる。
(3)シアン化水素による中毒では、細胞内での酸素利用の障害による呼吸困難や痙攣がみられる。
(4)二酸化硫黄による慢性中毒では、慢性気管支炎や歯牙酸蝕症がみられる。
(5)弗化水素による慢性中毒では、骨の硬化や斑状歯がみられる。


答え(1)
(1)は誤り。酢酸メチルによる中毒では、視神経障害がみられます。
また、再生不良性貧血や白血病は、ベンゼンに長期間ばく露した場合にみられます。
(2)(3)(4)(5)は正しい。



問12 粉じん(ヒュームを含む。)による健康障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)じん肺は、粉じんを吸入することによって肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病である。
(2)鉱物性粉じんに含まれる遊離けい酸(SiO2)は、石灰化を伴う胸膜肥厚や胸膜中皮腫を生じさせるという特徴がある。
(3)じん肺は、肺結核のほか、続発性気管支炎、続発性気胸、原発性肺がんなどを合併することがある。
(4)溶接工肺は、溶接に際して発生する酸化鉄ヒュームのばく露によって発症するじん肺である。
(5)炭素を含む粉じんもじん肺を起こすことがある。


答え(2)
(2)は誤り。遊離けい酸(SiO2)を吸入すると、けい肺を起こし、胸部にけい肺結節という線維性の結節が形成されます。
石灰化を伴う胸膜肥厚や胸膜中皮腫を生じさせるのは、石綿粉じん(アスベスト)です。
(1)(3)(4)(5)は正しい。



問13 有害物質を発散する屋内作業場の作業環境改善に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)粉じんを発散する作業工程では、密閉化や湿式化を局所排気装置などの設置に優先して検討する。
(2)局所排気装置を設ける場合、ダクトが太すぎると搬送速度が不足し、細すぎると圧力損失が増大することを考慮して、ダクト径を定める。
(3)局所排気装置に設ける空気清浄装置は、原則として、ダクトに接続された排風機を通過した後の空気が通る位置に設置する。
(4)有害物質を取り扱う装置を構造上又は作業上の理由で完全に密閉できない場合は、装置内の圧力を外気圧よりわずかに低くする。
(5)局所排気装置を設置する場合は、給気量が不足すると排気効果が低下するので、排気量に見合った給気経路を確保する。


答え(3)
(3)は誤り。局所排気装置に設ける空気清浄装置は、排風機の前の位置に設置します。
吸入経路から見て「空気清浄装置→排風機」の順にしなければ、吸引物により排風機の故障につながることがあります。
(1)(2)(4)(5)は正しい。



問14 作業環境における騒音及びそれによる健康障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)騒音レベルの測定は、通常、騒音計の周波数補正回路のA特性で行い、その大きさはdB(A)で表示する。
(2)等価騒音レベルは、単位時間(1時間)について10分間ごとのピーク値の騒音レベルを平均化した評価値で、変動する騒音に対して適用される。
(3)騒音牲難聴は、音を神経に伝達する内耳の聴覚器官の有毛細胞の変性によって起こる。
(4)騒音性難聴の初期に認められる4000 Hz付近を中心とする聴力低下の型をc5dipという。
(5)騒音は、自律神経系や内分泌系へも影響を与え、交感神経の活動の亢進や副腎皮質ホルモンの分泌の増加が認められることがある。


答え(2)
(2)は誤り。等価騒音レベルは、ある時間範囲について、変動する騒音の騒音レベルをエネルギー的な平均値として表した量です。
(1)(3)(4)(5)は正しい。



問15 次の化学物質のうち、常温・常圧(25℃、1気圧)の空気中で蒸気として存在するものはどれか。
ただし、蒸気とは、常温・常圧で液体又は固体の物質が蒸気圧に応じて揮発又は昇華して気体となっているものをいうものとする。

(1)塩素
(2)塩化水素
(3)トリクロロエチレン
(4)二酸化硫黄
(5)アンモニア


答え(3)
(3)は正しい。トリクロロエチレンは、有機溶剤の一種で、空気中で蒸気として存在します。また、トリクロルエチレンということもあります。
(1)(2)(4)(5)は誤り。これらは、空気中でガスとして存在します。



問16 作業環境における有害因子による健康障害に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)マイクロ波は、赤外線より波長が短い電磁波で、照射部位の組織を加熱する作用がある。
(2)熱痙攣は、高温環境下での労働において、皮膚の血管に血液がたまり、脳への血液の流れが少なくなることにより発生し、めまい、失神などの症状がみられる。
(3)全身振動障害では、レイノー現象などの末梢循環障害や手指のしびれ感などの末梢神経障害がみられ、局所振動障害では、関節痛などの筋骨格系障害がみられる。
(4)凍瘡は、皮膚組織の凍結壊死を伴うしもやけのことで、0℃以下の寒冷にばく露することによって発生する。
(5)金属熟は、金属の溶融作業などで亜鉛、銅などのヒュームを吸入したとき発生し、悪寒、発熱、関節痛などの症状がみられる。


答え(5)
(1)は誤り。マイクロ波は、赤外線より波長が長い電磁波です。照射部位の組織を加熱する作用があります。
(2)は誤り。熱痙攣(ねつけいれん)は、高温環境下で発汗により多量に失われた塩分の補給が不十分なとき生じ、血液中の塩分濃度が低下し発生し、筋肉痙攣の症状がみられます。
(3)は誤り。全身振動障害では、振動による不快感の他、腰痛、頸部痛がみられます。局所振動障害では、レイノー現象などの末梢循環障害や手指のしびれ感などの末梢神経障害、関節痛などの筋骨格系障害がみられます。
(4)は誤り。凍瘡(とうそう)は、冬期などに日常的に起こるしもやけのことです。
(5)は正しい。よく引っ掛けで出題されますが、金属熱は、熱中症とは関係がないので注意しましょう。



問17 金属による中毒に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)金属水銀中毒では、感情不安定、幻覚などの精神障害や手指の震えなどの症状がみられる。
(2)鉛中毒では、貧血、末梢神経障害、腹部の疝痛などの症状がみられる。
(3)マンガン中毒では、指の骨の溶解、肝臓の血管肉腫などがみられる。
(4)カドミウム中毒では、上気道炎、肺炎、腎障害などの症状がみられる。
(5)砒素中毒では、角化症、黒皮症などの皮膚障害や鼻中隔穿孔などの症状がみられる。


答え(3)
(3)は誤り。マンガン中毒では、筋のこわばり、震え、歩行困難などのパーキンソン病に似た神経症状がみられます。
(1)(2)(4)(5)は正しい。これらは、空気中でガスとして存在します。



問18 厚生労働省の「作業環境測定基準」及び「作業環境評価基準」に基づく作業環境測定及びその結果の評価に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)管理濃度は、有害物質に関する作業環境の状態を単位作業場所の作業環境測定結果から評価するための指標として設定されたものである。
(2)A測定は、原材料を反応槽へ投入する場合など、間欠的に大量の有害物質の発散を伴う作業における最高濃度を知るために行う測定である。
(3)B測定は、単位作業場所における気中有害物質濃度の平均的な分布を知るために行う測定である。
(4)A測定の第二評価値及びB測定の測定値がいずれも管理濃度に満たない単位作業場所は、第一管理区分になる。
(5)B測定の測定値が管理濃度を超えている単位作業場所の管理区分は、A測定の結果に関係なく第三管理区分となる。


答え(1)
(1)は正しい。
(2)は誤り。A測定は、単位作業場所全体における有害物質の気中濃度の平均的な分布を知るために行う測定です。
(3)は誤り。B測定は、単位作業場所中の有害物質の発散源に近接する場所で作業が行われる場合、有害物質の気中濃度の最高濃度を知るために行う測定です。
(4)は誤り。A測定の「第一評価値」及び「B測定の測定値」がいずれも管理濃度に満たない単位作業場所は、第一管理区分になります。
(5)は誤り。B測定の測定値が「管理濃度の1.5倍」を超えている単位作業場所の管理区分は、A測定の結果に関係なく第三管理区分となります。



問19 呼吸用保護具に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)防じんマスクは作業に適したものを選択し、顔面とマスクの面体の高い密着性が要求される有害性の高い物質を取り扱う作業については、使い捨て式のものを選ぶ。
(2)防じんマスクの面体の接顔部に接顔メリヤスを使用すると、マスクと顔面との密着性が良くなる。
(3)2種類以上の有害ガスが混在している場合には、そのうち最も毒性の強いガス用の防毒マスクを使用する。
(4)防毒マスクの吸収缶が除毒能力を喪失するまでの時間を破過時間という。
(5)一酸化炭素用防毒マスクの吸収缶の色は、黄色である。


答え(4)
(1)は誤り。有害性の高い物質を取り扱う作業については、取替え式のものを選びます。
(2)は誤り。接顔メリヤスとは、綿で出来たカバーで、汗による肌荒れを防ぐためにマスクと顔の接触部分に使用します。
ただし、マスクと顔面との密着性が悪くなるので、衛生管理上、防毒マスク、防じんマスクでは使用してはなりません。
(3)は誤り。2種類以上の有害ガスが混在している場合では、そのうち最も毒性の強いガス用の防毒マスクを使用しても、その他の有害ガスにばく露されるため、適切な呼吸用保護具を使用しなければなりません。
(4)は正しい。
(5)は誤り。一酸化炭素用防毒マスクの吸収缶の色は、赤色です。ちなみに、黄色の吸収缶は、硫化水素用です。



問20 特殊健康診断に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)有害業務への配置替えの際に行う特殊健康診断には、業務適性の判断と、その後の業務の影響を調べるための基礎資料を得るという目的がある。
(2)特殊健康診断において適切な健診デザインを行うためには、作業内容と有害要因へのばく露状況を把握する必要がある。
(3)特殊健康診断では、対象とする特定の健康障害と類似の他の疾患との判別が、一般健康診断よりも一層強く求められる。
(4)有害物質による健康障害は、多くの場合、諸検査の異常などの他覚的所見より自覚症状が先に出現するため、特殊健康診断では問診の重要性が高い。
(5)有機溶剤は、生物学的半減期が短いので、有機溶剤等健康診断における尿中の代謝物の量の検査のための採尿の時刻は、厳重にチェックする必要がある。


答え(4)
(4)は誤り。有害物質等による健康障害の大部分のものは、他覚的所見が、自覚症状に先行して出現するので、特殊健康診断では問診よりも諸検査に重きが置かれています。
(1)(2)(4)(5)は正しい。

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