衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:一般(2019年10月) | 衛生管理者 講習会・通信講座

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衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:一般(2019年10月)

ここでは、2019年(令和元年)10月公表の過去問のうち「労働衛生:一般(有害業務に係るもの以外のもの)」の10問について解説いたします。
この過去問は、第1種衛生管理者、第2種衛生管理者の試験の範囲です。
なお、特例第1種衛生管理者試験の範囲には含まれません。

それぞれの科目の解説は、下記ページからどうぞ。

衛生管理者の過去問の解説:関係法令:有害(2019年10月)
衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:有害(2019年10月)
衛生管理者の過去問の解説:関係法令:一般(2019年10月)
衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:一般(2019年10月)
衛生管理者の過去問の解説:労働生理(2019年10月)



問11 事務室内において、空気を外気と入れ換えて二酸化炭素濃度を1,000ppm以下に保った状態で、在室することのできる最大の人数は次のうちどれか。
ただし、外気の二酸化炭素濃度を400ppm、外気と入れ換える空気量を500m3/h、1人当たりの呼出二酸化炭素量を0.018m3/hとする。

(1)14人
(2)16人
(3)18人
(4)20人
(5)22人


答え(2)
作業場内で衛生管理上、入れ替える必要がある空気量を必要換気量と言い、1時間の空気量で表します。
必要換気量の計算式は次の通りです。

問11式

「在室することのできる最大の人数」をNとすると、次のような算出式となります。

500[m3/h]=0.018N[m3/h]÷(1,000[ppm]- 400[ppm])×1,000,000

0.018N×1,000,000=500×600
18,000N=300,000
N=16.6…

したがって、「在室することのできる最大の人数」は、(2)16人となります。



問12 WBGT(湿球黒球温度)は、作業者が受ける暑熱環境による熱ストレスの評価を行うための指標として有用であるが、次のAからDの温熱要素の測定値について、屋外で太陽照射がない場合のWBGTを算出するために必要なものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A 乾球温度
B 自然湿球温度
C 黒球温度
D 風速

(1)A,B
(2)A,C
(3)B,C
(4)B,D
(5)C,D


答え(3)
WBGT指数は、屋外で太陽照射がある場合は、「自然湿球温度」、「黒球温度」および「乾球温度」の3要素の測定値から算出され、屋内および屋外で太陽照射のない場合は、「自然湿球温度」および「黒球温度」の2要素の測定値から算出されます。



問13 照明などの視環境に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)前方から明かりを取るときは、眼と光源を結ぶ線と視線とで作る角度が、40°程度になるようにしている。
(2)部屋の彩色に当たっては、目の高さから下の壁などは、まぶしさを防ぐため濁色にするとよい。
(3)全般照明と局部照明を併用する場合、全般照明による照度は、局部照明による照度の10分の1以上になるようにしている。
(4)照度の単位はルクスで、1ルクスは光度1カンデラの光源から10m離れた所で、その光の光軸に垂直な面が受ける明るさに相当する。
(5)室内の彩色で、明度を高くすると光の反射率が高くなり照度を上げる効果があるが、彩度を高くしすぎると交感神経の緊張を招きやすい。


答え(4)
(1)(2)(3)(5)は正しい。
(4)は誤り。照度の単位はルクスで、1ルクスは光度1カンデラの光源から「1m」離れた所で、その光に直角な面が受ける明るさに相当します。



問14 厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」において、心の健康づくり計画の実施に当たって推進すべきこととされている四つのメンタルヘルスケアに該当しないものは、次のうちどれか。

(1)労働者自身がストレスや心の健康について理解し、自らのストレスの予防や対処を行うセルフケア
(2)職場の同僚がメンタルヘルス不調の労働者の早期発見、相談への対応を行うとともに管理監督者に情報提供を行う同僚によるケア
(3)管理監督者が、職場環境等の改善や労働者からの相談への対応を行うラインによるケア
(4)産業医、衛生管理者等が、心の健康づくり対策の提言や推進を行うとともに、労働者及び管理監督者に対する支援を行う事業場内産業保健スタッフ等によるケア
(5)メンタルヘルスケアに関する専門的な知識を有する事業場外の機関及び専門家を活用し支援を受ける事業場外資源によるケア


答え(2)
四つのメンタルヘルスケアは、試験でも良く出題されています。
四つのメンタルヘルスケアとは、「セルフケア」「ラインによるケア」「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」「事業場外資源によるケア」です。
(2)同僚によるケアは、規定されていません。



問15 厚生労働省の「職場における腰痛予防対策指針」に基づく、重量物取扱い作業における腰痛予防対策に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)労働者全員に腰部保護ベルトを使用させる。
(2)取り扱う物の重量をできるだけ明示する。
(3)重量物を取り扱うときは、急激な身体の移動をなくし、前屈やひねり等の不自然な姿勢はとらず、かつ、身体の重心の移動を少なくする。
(4)重量物を持ち上げるときは、できるだけ身体を対象物に近づけ、重心を低くするような姿勢をとる。
(5)重量物取扱い作業に常時従事する労働者に対しては、当該作業に配置する際及びその後6か月以内ごとに1回、定期に、医師による腰痛の健康診断を行う。


答え(1)
(1)は誤り。腰部保護ベルトについては、一律に使用させるのではなく、労働者ごとに効果を確認してから使用の適否を判断します。
(2)(3)(4)(5)は正しい。



問16 厚生労働省の「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」に基づく措置に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)ディスプレイ画面上における照度は、書類上及びキーボード上における照度とほぼ同じ明るさとし、400ルクス程度としている。
(2)作業室内には、間接照明等のグレア防止用照明器具を用いている。
(3)ディスプレイは、おおむね50cm程度の視距離が確保できるようにしている。
(4)単純入力型及び拘束型に該当するVDT作業については、一連続作業時間を1時間とし、次の連続作業までの間に5分の作業休止時間を設けている。
(5)VDT作業健康診断では、視力検査などの眼科学的検査のほか、上肢の運動機能などの筋骨格系に関する検査も行っている。


答え(4)
(1)(2)(3)(5)は正しい。
(4)は誤り。単純入力型又は拘束型に該当するVDT作業については、一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までの間に「10~15分」の作業休止時間を設け、かつ、一連続作業時間内において1~2回程度の小休止を設けるようにします。

2019年7月「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」が策定されました。
これにより「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」は廃止されました。
2019年7月以降の試験問題では、「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」から出題されます。
なお、情報機器作業とは、ディスプレイ、キーボード等で構成される機器のほか、タブレット、スマートフォン等の携帯用情報機器を用いた作業です。



問17 出血及び止血法並びにその救急処置に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)体内の全血液量は、体重の約8%で、その約3分の1を短時間に失うと生命が危険な状態となる。
(2)止血法には、直接圧迫法、間接圧迫法などがあるが、一般人が行う応急手当としては直接圧迫法が推奨されている。
(3)静脈性出血は、傷口からゆっくり持続的に湧き出るような出血で、通常、直接圧迫法で止血する。
(4)止血帯を施した後、受傷者を医師に引き継ぐまでに1時間以上かかる場合には、止血帯を施してから1時間ごとに1~2分間、出血部から血液がにじんでくる程度まで結び目をゆるめる。
(5)傷口が泥で汚れているときは、手際良く水道水で洗い流す。


答え(4)
(1)(2)(3)(5)は正しい。
(4)は誤り。止血帯を施した後、長時間医師に引き継げなく30分以上続けるときは、「30分」ごとに出血点から血液がにじむ程度に1~2分ゆるめます。



問18 骨折及びその救急処置に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)骨にひびが入った状態は、単純骨折である。
(2)複雑骨折とは、骨が多数の骨片に破砕された状態をいう。
(3)開放骨折では、感染を防ぐため、骨折部を皮膚の下に戻してから副子で固定する。
(4)不完全骨折では、変形や骨折端どうしが擦れ合う軋轢(あつれき)音が認められる。
(5)脊髄損傷が疑われる負傷者を搬送するときには、柔らかいマットの上に乗せるようにする。


答え(1)
(1)は正しい。
(2)は誤り。複雑骨折とは、骨折とともに皮膚、皮下組織などが損傷し骨が外に出ている状態をいいます。
(3)は誤り。皮膚から突出している骨は戻してはなりません。
(4)は誤り。「完全骨折」では、骨折端どうしが擦れ合い、動かすとギシギシという軋轢音、変形などが認められます。
(5)は誤り。脊髄損傷が疑われる場合は、骨折部にズレがないように、傷病者を硬い板の上に乗せて搬送します。



問19 食中毒に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)毒素型食中毒は、食物に付着した細菌が増殖する際に産生した毒素によって起こる食中毒で、代表的なものとしてサルモネラ菌によるものがある。
(2)感染型食中毒は、食物に付着した細菌そのものの感染によって起こる食中毒で、代表的なものとして黄色ブドウ球菌によるものがある。
(3)ボツリヌス菌は、缶詰、真空パック食品など、酸素のない食品中で増殖し、毒性の強い神経毒を産生する。
(4)カンピロバクターは、カビの産生する毒素で、腹痛や下痢を起こす。
(5)エンテロトキシンは、フグ毒の主成分で、手足のしびれや呼吸麻痺(ひ)を起こす。


答え(3)
(1)は誤り。毒素型食中毒は、食物に付着した細菌が増殖する際に産生する毒素によって起こる食中毒で、この毒素を産生する代表的なものとして黄色ブドウ球菌やボツリヌス菌があります。
(2)は誤り。感染型食中毒は、食物に付着した細菌そのものの感染によって起こる食中毒で、代表的な細菌としてサルモネラ菌や腸炎ビブリオがあります。
(3)は正しい。
(4)は誤り。カンピロバクターは、家畜の消化管に存在する菌で、飲料水や鶏肉などから感染することがあり、潜伏期間は2~7日で、感染すると腹痛や下痢を起こします。また、カビの産生する毒素として、アフラトキシンがあります。
(5)は誤り。フグ毒として、テトロドトキシンがあり、口唇の麻痺(ひ)、手足のしびれで始まり、呼吸麻痺から死に至ることがあります。



問20 一次救命処置に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)傷病者の肩を軽くたたきながら「大丈夫ですか?」と呼びかけて、反応がない場合は、その場で大声で叫んで周囲の注意を喚起し、応援を呼ぶ。
(2)反応はないが普段どおりの呼吸をしている傷病者は、回復体位をとらせて安静にして、経過を観察する。
(3)人工呼吸が可能な場合、心肺蘇(そ)生は、胸骨圧迫30回に人工呼吸2回を繰り返して行う。
(4)口対口人工呼吸は、傷病者の鼻をつまみ、1回の吹き込みに約3秒かけて傷病者の胸の盛り上がりが確認できる程度まで吹き込む。
(5)胸骨圧迫は、胸が約5cm沈む強さで、1分間に100~120回のテンポで行う。


答え(4)
(1)(2)(3)(5)は正しい。
(4)は誤り。口対口人工呼吸は、傷病者の鼻をつまみ、1回の吹き込みに「約1秒」かけて傷病者の胸の盛り上がりが見える程度まで吹き込みます。
3秒のように時間を掛けて、過剰な換気をすることは、むしろ有害とされています。
また、人工呼吸による胸骨圧迫の中断を考慮すれば吸気時間は短いほうがよいという考えもあります。
さて、一次救命処置については、AHA(アメリカ心臓協会)が科学的な根拠に基づき心肺蘇生法に関する指針を見直してガイドライン2005を発表しました。
それを受けて日本においても救急蘇生ガイドラインが大きく改訂されました(2006年)。
その後、JRC(日本蘇生協議会)と日本救急医療財団により「JRC蘇生ガイドライン2015」が策定されています(2016年)。
このガイドラインは、最新のデータに基づき定期的に見直されるでしょう。

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