衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:一般(2018年4月) | 衛生管理者 講習会・通信講座

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衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:一般(2018年4月)

ここでは、2018年(平成30年)4月公表の過去問のうち「労働衛生:一般(有害業務に係るもの以外のもの」の10問について解説いたします。
この過去問は、第1種衛生管理者、第2種衛生管理者の試験の範囲です。
なお、特例第1種衛生管理者試験の範囲には含まれません。

それぞれの科目の解説は、下記ページからどうぞ。

衛生管理者の過去問の解説:関係法令:有害(2018年4月)
衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:有害(2018年4月)
衛生管理者の過去問の解説:関係法令:一般(2018年4月)
衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:一般(2018年4月)
衛生管理者の過去問の解説:労働生理(2018年4月)



問11 事務室における必要換気量Q(m3/h)を算出する式として、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。
ただし、AからDは次のとおりとする。

A 室内二酸化炭素濃度の測定値(ppm)
B 室内二酸化炭素基準濃度(ppm)
C 外気の二酸化炭素濃度(ppm)
D 在室者全員が1時間に呼出する二酸化炭素量(m3/h)

(1)Q = D/(A-B) ×100
(2)Q = D/(A-C) ×100
(3)Q = D/(B-C) ×100
(4)Q = D/(A-B) ×1,000,000
(5)Q = D/(B-C) ×1,000,000


答え(5)
作業場内で衛生管理上、入れ替える必要がある空気量を必要換気量と言い、1時間の空気量で表します。
必要換気量の計算式は「在室者全員が呼出する二酸化炭素量」を「室内二酸化炭素基準濃度」から「外気の二酸化炭素濃度」で引いたもので割って求めます。
また、二酸化炭素濃度は、百分率の「%」のほか百万分率の「ppm」で表します。
必要換気量の算出時に、二酸化炭素濃度が「%」の場合は「100」を掛けますが、「ppm」の場合は「1,000,000」を掛けます。



問12 WBGT(湿球黒球温度)に関する次の文中の[  ]内に入れるAからCの語句の組合せとして、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。

「WBGTは、労働環境において作業者が受ける暑熱環境による熱ストレスの評価を行う簡便な指標で、その値は次の式により算出される。
屋外で太陽照射のある場合:
 WBGT = 0.7×[ A ]+0.2×[ B ]+0.1×[ C ]
屋内の場合又は屋外で太陽照射のない場合:
 WBGT = 0.7×[ A ]+0.3×[ B ]」

(1)A:自然湿球温度 B:黒球温度   C:乾球温度
(2)A:自然湿球温度 B:乾球温度   C:黒球温度
(3)A:乾球温度   B:黒球温度   C:自然湿球温度
(4)A:乾球温度   B:自然湿球温度 C:黒球温度
(5)A:黒球温度   B:自然湿球温度 C:乾球温度


答え(1)
WBGTは、「屋外で太陽照射のある場合」と「屋内の場合又は屋外で太陽照射のない場合」で計算方法が異なります。
「屋外で太陽照射のある場合」には、乾球温度を加味する必要があります。
なお、このときの乾球温度は、周りの風通しを妨げない状態で、ふく射熱による影響を受けないように感温部を囲って測定された乾球温度計が示す値となります。



問13 照明などの視環境に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)前方から明かりをとるとき、眼と光源を結ぶ線と視線が作る角度は、45°程度としている。
(2)作業室全体の照度は、作業面の局部照明による照度の5分の1程度になるようにしている。
(3)1カンデラ(cd)の光源から10m離れた所でその光に垂直な単位面積の面が受ける明るさを1ルクス(lx)という。
(4)部屋の彩色として、目の高さ以下の壁面は、まぶしさを防ぎ安定感を出すために濁色を用い、目より上方の壁や天井は、照明効果を良くするため明るい色を用いるとよい。
(5)室内の彩色で、明度を高くすると光の反射率が高くなることから照度を上げる効果があるが、彩度を高くしすぎると交感神経の緊張を招き、長時間にわたる場合は疲労が生じやすい。


答え(3)
(1)(2)(4)(5)は正しい。
(3)は誤り。1カンデラ(cd)の光源から「1m」離れた所でその光に直角な面が受ける明るさを1ルクス(lx)といいます。



問14 一次救命処置に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)傷病者に反応がある場合は、回復体位をとらせて安静にして、経過を観察する。
(2)一次救命処置は、できる限り単独で行うことは避ける。
(3)口対口人工呼吸は、傷病者の鼻をつまみ、1回の吹き込みに3秒かけて傷病者の胸の盛り上がりが見える程度まで吹き込む。
(4)胸骨圧迫は、胸が約5cm沈む強さで、1分間に100~120回のテンポで行う。
(5)AED(自動体外式除細動器)を用いた場合、電気ショックを行った後や電気ショックは不要と判断されたときには、音声メッセージに従い、胸骨圧迫を再開し心肺蘇(そ)生を続ける。


答え(3)
(1)(2)(4)(5)は正しい。
(3)は誤り。口対口人工呼吸は、傷病者の鼻をつまみ、1回の吹き込みに「約1秒」かけて傷病者の胸の盛り上がりが見える程度まで吹き込みます。
3秒のように時間を掛けて、過剰な換気をすることは、むしろ有害とされています。
また、人工呼吸による胸骨圧迫の中断を考慮すれば吸気時間は短いほうがよいという考えもあります。
さて、一次救命処置については、AHA(アメリカ心臓協会)が科学的な根拠に基づき心肺蘇生法に関する指針を見直してガイドライン2005を発表しました。
それを受けて日本においても救急蘇生ガイドラインが大きく改訂されました(2006年)。
その後、JRC(日本蘇生協議会)と日本救急医療財団により「JRC蘇生ガイドライン2015」が策定されています(2016年)。
このガイドラインは、最新のデータに基づき定期的に見直されるでしょう。



問15 厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」に基づくメンタルヘルスケアに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)メンタルヘルスケアを中長期的視点に立って継続的かつ計画的に行うため策定する「心の健康づくり計画」は、各事業場における労働安全衛生に関する計画の中に位置付ける。
(2)「心の健康づくり計画」の策定は、衛生委員会又は安全衛生委員会において十分調査審議する。
(3)事業者がメンタルヘルスケアを積極的に推進する旨を表明することは、「心の健康づくり計画」で定めるべき事項に含まれる。
(4)「心の健康づくり計画」では、「セルフケア」、「家族によるケア」、「ラインによるケア」及び「事業場外資源によるケア」の四つのケアを効果的に推進する。
(5)「セルフケア」とは、労働者自身がストレスや心の健康について理解し、自らのストレスを予防、軽減することである。


答え(4)
(1)(2)(3)(5)は正しい。
「家族によるケア」は定められていません。「心の健康づくり計画」では、「セルフケア」、「ラインによるケア」、「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」及び「事業場外資源によるケア」の4つのケアが継続的かつ計画的に行われることが重要です。



問16 労働衛生管理に用いられる統計に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)生体から得られたある指標が正規分布である場合、そのバラツキの程度は、平均値及び最頻値によって表される。
(2)集団を比較する場合、調査の対象とした項目のデータの平均値が等しくても分散が異なっていれば、異なった特徴をもつ集団であると評価される。
(3)健康管理統計において、ある時点での検査における有所見者の出現割合を有所見率といい、一定期間に有所見とされた者の割合を発生率としている。
(4)ある事象と健康事象との間に、統計上、一方が多いと他方も多いというような相関関係が認められても、それらの間に因果関係がないこともある。
(5)健康診断における各検査において、スクリーニングレベルを高く設定すると偽陽性率は低くなるが、偽陰性率は高くなる。


答え(1)
(1)は誤り。生体から得られる諸指標は正規分布という型をとることが多く、そのバラツキの程度は、分散や標準偏差によって表されます。
(2)(3)(4)(5)は正しい。



問17 脳血管障害及び虚血性心疾患に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)脳血管障害は、脳の血管の病変が原因で生じ、出血性病変、虚血性病変などに分類される。
(2)出血性の脳血管障害は、脳表面のくも膜下腔(くう)に出血するくも膜下出血、脳実質内に出血する脳出血などに分類される。
(3)虚血性の脳血管障害である脳梗塞は、脳血管自体の動脈硬化性病変による脳血栓症と、心臓や動脈壁の血栓が剥がれて脳血管を閉塞する脳塞栓症に分類される。
(4)虚血性心疾患は、冠動脈による心筋への血液の供給が不足したり途絶えることにより起こる心筋障害である。
(5)虚血性心疾患は、心筋の一部分に可逆的虚血が起こる心筋梗塞と、不可逆的な心筋壊(え)死が起こる狭心症とに大別される。


答え(5)
(1)(2)(3)(4)は正しい。
(5)は誤り。虚血性心疾患は、心筋の一部分に「可逆的(元に戻すことができる)」虚血が起こる「狭心症」と、「不可逆的(元に戻すことができない)」な心筋壊死が起こる「心筋梗塞」とに大別されます。



問18 出血及び止血法並びにその救急処置に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)体内の全血液量は、体重の約8%で、その約3分の1を短時間に失うと生命が危険な状態となる。
(2)止血法には、直接圧迫法、間接圧迫法などがあるが、応急手当としては直接圧迫法が推奨されている。
(3)静脈性出血は、傷口からゆっくり持続的に湧き出るような出血で、通常、直接圧迫法で止血する。
(4)止血帯を施した後、受傷者を医師に引き継ぐまでに1時間以上かかる場合には、止血帯を施してから1時間ごとに1~2分間、出血部から血液がにじんでくる程度まで結び目をゆるめる。
(5)止血を行うときは、受傷者の血液による処置者への感染防止のため、ビニール手袋を着用したりビニール袋を活用するようにする。


答え(4)
(1)(2)(3)(5)は正しい。
(4)は誤り。止血帯を施した後、長時間医師に引き継げなく30分以上続けるときは、30分ごとに出血点から血液がにじむ程度に1~2分ゆるめます。



問19 労働者の健康保持増進のために行う健康測定における運動機能検査の項目とその測定種目との組合せとして、誤っているものは次のうちどれか。

(1)筋力 ・・・・・・・・ 握力
(2)柔軟性 ・・・・・・・ 上体起こし
(3)平衡性 ・・・・・・・ 閉眼(又は開眼)片足立ち
(4)敏しょう性 ・・・・・ 全身反応時間
(5)全身持久性 ・・・・・ 最大酸素摂取量


答え(2)
労働者の健康の保持増進のための活動における健康測定の項目のひとつに運動機能検査があります。
その検査項目と種目として筋力は握力や上体起こし、柔軟性は立位体前屈や座位体前屈、平衡性は閉眼片足立ち、敏捷性は全身反応時間、全身持久性は自転車エルゴメーターによる最大酸素摂取量間接測定法で測定を行います。



問20 細菌性食中毒の原因菌のうち、病原性好塩菌ともいわれるものは、次のうちどれか。

(1)黄色ブドウ球菌
(2)ボツリヌス菌
(3)サルモネラ菌
(4)腸炎ビブリオ
(5)カンピロバクター


答え(4)
腸炎ビブリオは、塩水を好むため病原性好塩菌ともいわれ、海産の魚介類汚染が原因となり腹痛、下痢が起こります。

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