衛生管理者の過去問の解説:労働生理(2026年4月)
ここでは、2026年(令和8年)4月公表の過去問のうち「労働生理」の10問について解説いたします。
この過去問は、第1種衛生管理者、第2種衛生管理者の試験の範囲です。
なお、特例第1種衛生管理者試験の範囲には含まれません。
それぞれの科目の解説は、下記ページからどうぞ。
◆衛生管理者の過去問の解説:関係法令:有害(2026年4月)
◆衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:有害(2026年4月)
◆衛生管理者の過去問の解説:関係法令:一般(2026年4月)
◆衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:一般(2026年4月)
◆衛生管理者の過去問の解説:労働生理(2026年4月)
問21 感覚又は感覚器に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)物理化学的な刺激の量と人間が意識する感覚の強度とは、直線的な比例関係にある。
(2)皮膚感覚には、触圧覚、痛覚、温度覚(温覚・冷覚)などがあり、これらのうち冷覚を感じる冷覚点の密度は他の感覚点に比べて高い。
(3)内臓感覚は、内臓の動き、炎症などを感じて、内臓痛などとして部位の特定ができる鋭敏な感覚である。
(4)網膜の錐(すい)状体は色を感じ、杆(かん)状体は明暗を感じる。
(5)平衡感覚に関係する器官である前庭及び半規管は、中耳にあって、体の傾きや回転の方向を知覚する。
(1)は誤り。物理化学的な刺激の量と人間が意識する感覚の強度との関係は、一般に、直線的な比例関係になりません。
(2)は誤り。皮膚の感覚器官のうち、痛覚を生じる痛覚点の密度は、他の感覚点に比べて大きいことがわかっています。
(3)は誤り。内臓感覚は、内臓の動きや炎症などを感じる感覚ですが、内臓痛は部位の特定がしにくい鈍い感覚です。
(4)は正しい。
(5)は誤り。前庭及び半規管は内耳にあって、体の傾きや回転の方向を知覚します。「中耳」ではありません。
問22 消化器系に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)無機塩及びビタミン類は、酵素による分解を受けないでそのまま吸収される。
(2)唾液の成分は、ほとんどが水であるが、デンプンをより小さい糖に分解する消化酵素を含む。
(3)ペプシノーゲンは、胃酸によってペプシンという消化酵素になり、蛋(たん)白質を分解する。
(4)胆汁は、酸性で、消化酵素は含まないが、食物中の脂肪を乳化させ、脂肪分解の働きを助ける。
(5)小腸の表面は、ビロード状の絨(じゅう)毛という小突起で覆われており、栄養素の吸収の効率を上げるために役立っている。
(1)(2)(3)(5)は正しい。
(4)は誤り。胆汁は、酸性ではなく、アルカリ性です。また、胆汁は消化酵素を含みませんが、脂肪分解の働きを助けます。
問23 神経系に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)神経細胞の細胞体が集合しているところを、中枢神経系では神経節といい、末梢(しょう)神経系では神経核という。
(2)中枢神経系は、脳と脊髄から成る。
(3)有髄神経線維は、無髄神経線維よりも神経伝導速度が速い。
(4)交感神経と副交感神経は、同一器官に分布していても、その作用はほぼ正反対である。
(5)大脳の外側の皮質は、感覚、思考などの作用を支配する中枢として機能する。
(1)は誤り。この選択肢では、神経核と神経節が逆になっています。神経細胞の細胞体が集合しているところを、中枢神経系では神経核といい、末梢神経系では神経節といいます。
(2)(3)(4)(5)は正しい。
問24 肝臓の機能として、誤っているものは次のうちどれか。
(1)コレステロールを合成する。
(2)尿素を合成する。
(3)ヘモグロビンを合成する。
(4)血液中の身体に有害な物質を分解する。
(5)グリコーゲンを合成し、及び分解する。
(1)(2)(4)(5)は正しい。
(3)は誤り。ヘモグロビンは骨髄で合成されます。肝臓の役割には含まれません。
問25 腎臓又は尿に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)尿は淡黄色の液体で、固有の臭気を有し、通常、弱アルカリ性である。
(2)血中の蛋(たん)白質は、糸球体からボウマン嚢(のう)に濾(こ)し出される。
(3)血中の老廃物は、尿細管からボウマン嚢(のう)に濾(こ)し出される。
(4)原尿中に濾(こ)し出された水分の大部分は、そのまま尿として排出される。
(5)原尿中に濾(こ)出された電解質の多くは、尿細管から血中に再吸収される。
(1)は誤り。尿は、通常、弱酸性です。
(2)は誤り。腎小体を通る血液中の血球および蛋白質以外の成分(水分、電解質(ナトリウム、カリウム等)、グルコース(糖)、老廃物)は、「糸球体」から「ボウマン嚢」中に濾し出され、原尿が生成されます。つまり、蛋白質は濾過されません。
(3)は誤り。(2)の解答を参照してください。老廃物は「糸球体」で濾過されます。
(4)は誤り。原尿は、その通り道である尿細管に入りますが、原尿に含まれる大部分の水分、電解質、糖やアミノ酸などの栄養物質が「尿細管」において血液中に再吸収されます。
(5)は正しい。
問26 血液に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)血液は、血漿(しょう)と有形成分から成り、血漿(しょう)には、アルブミン、グロブリンなどの蛋(たん)白質が含まれている。
(2)赤血球は、血球の中で最も多く、全血液の体積の約60%を占めている。
(3)血小板は、核を持たない不定形の細胞で、血液凝固作用に関与している。
(4)出血すると、血漿(しょう)中のフィブリノーゲンがフィブリンに変化し、血球と結合して凝固する。
(5)ABO式血液型は、赤血球の血液型分類の一つで、A型の血清は抗B抗体を持つ。
(1)(3)(4)(5)は正しい。
(2)は誤り。赤血球は、血球の中で最も多く、全血液の体積の約40%を占めています。60%ではありません。
問27 視覚に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)遠見視力の検査は、一般に、5mの距離で実施する。
(2)眼を使う作業を継続すると、硝子体の厚みを調節するときに毛様体筋の緊張や脳の疲労によって、「目が疲れる」、「目が痛い」などの症状がみられることがある。
(3)角膜が歪(ゆが)んでいたり、表面に凹凸があるために、眼軸などに異常がなくても、物体の像が網膜上に正しく結ばれないものを乱視という。
(4)視野とは、眼の前の一点を凝視したときに見えている空間の範囲をいい、一般に、上方及び鼻側は約60度、下方は約70度、耳側は約100度である。
(5)明るい所から急に暗い所に入ると、初めは見えにくいが、暗順応によって徐々に見えるようになる。
答え(2)
(1)(3)(4)(5)は正しい。
(2)は誤り。眼を使う作業を継続すると、水晶体(すいしょうたい)の厚みを調節するときに毛様体筋が緊張し、また脳が疲労することによって、「目が疲れる」、「目が痛い」などの症状がみられることがあります。硝子体(しょうしたい)ではありません。

問28 体温調節に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)計算上、100gの水分が体重70kgの人の体表面から蒸発すると、気化熱が奪われ、体温が約1℃下がる。
(2)体温調節にみられるように、外部環境などが変化しても身体内部の状態を一定に保とうとする性質を恒常性(ホメオスタシス)という。
(3)体温調節中枢は、間脳の視床下部にある。
(4)発汗とは、水分が皮膚から蒸発する現象をいい、不感蒸泄(せつ)とは、水分が呼気により失われる現象をいう。
(5)寒冷な環境においては、皮膚の血管が収縮して血流量が減って、熱の放散が減少する。
(1)(2)(3)(5)は正しい。
(4)は誤り。発汗とは、汗腺から汗が分泌される現象をいい、不感蒸泄(せつ)とは、皮膚や呼気から自覚なく水分が蒸発して失われる現象をいいます。
問29 免疫に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)抗原とは、免疫に関係する細胞によって異物として認識される物質のことである。
(2)抗原となる物質には、蛋(たん)白質、糖質などがある。
(3)抗原に対する免疫が、逆に、人体の組織や細胞に傷害を与えてしまうことをアレルギーといい、主なアレルギー性疾患としては、気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎などがある。
(4)好中球は白血球の一種であり、偽足を出してアメーバ様運動を行い、体内に侵入してきた細菌などを貪食する。
(5)免疫には、リンパ球が産生する抗体によって病原体を攻撃する細胞性免疫と、リンパ球などが直接に病原体などを取り込んで排除する体液性免疫の二つがある。
(1)正しい。抗原は異物として認識されます。
(2)正しい。抗原となる物質には、蛋白質、糖質など多様な物質が含まれます。
(3)正しい。アレルギー性疾患には、アレルギー性鼻炎、花粉症などが含まれます。
(4)正しい。好中球、白血球の中で最も数が多く、生体防御の第一線で働きます。
(5)誤り。細胞性免疫はリンパ球などが直接異物を攻撃し、体液性免疫が抗体による攻撃を行います。
問30 中高年齢者における加齢による生理機能などの変化に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)加齢により、動体視力が衰える。
(2)加齢により、体温調節機能が低下して、熱中症が起こりやすくなる。
(3)加齢により、骨密度が減少し、筋力が低下して、骨折しやすくなる。
(4)加齢により、平衡感覚が低下して、転びやすくなる。
(5)老人性難聴では、1000Hzより低い音域の音から聞こえにくくなる。
(1)は正しい。加齢により、眼の調節機能や動体視力は低下します。そのため、動いている物体を正確に捉えにくくなります。
(2)は正しい。加齢により、発汗機能や皮膚血流による体温調節機能が低下します。また、のどの渇きを感じにくくなるため、熱中症になりやすくなります。
(3)は正しい。加齢に伴い、骨密度や筋力が低下します。その結果、転倒した際に骨折しやすくなります。
(4)は正しい。加齢により、内耳や神経機能の衰えによって平衡感覚が低下します。そのため、転倒しやすくなります。
(5)は誤り。老人性難聴(加齢性難聴)は、高い音(高周波数)から聞こえにくくなるのが特徴です。老人性難聴では、4000Hz以上などの高い音域の音から聞こえにくくなります。「1000Hzより低い音域の音から聞こえにくくなる」という記述は誤りです。
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