衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:有害(2026年4月)
ここでは、2026年(令和8年)4月公表の過去問のうち「労働衛生:有害(有害業務に係るもの)」の10問について解説いたします。
この過去問は、第1種衛生管理者、特例第1種衛生管理者の試験の範囲です。
なお、第2種衛生管理者試験の範囲には含まれません。
それぞれの科目の解説は、下記ページからどうぞ。
◆衛生管理者の過去問の解説:関係法令:有害(2026年4月)
◆衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:有害(2026年4月)
◆衛生管理者の過去問の解説:関係法令:一般(2026年4月)
◆衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:一般(2026年4月)
◆衛生管理者の過去問の解説:労働生理(2026年4月)
問11 次の化学物質のうち、常温・常圧(25℃、1気圧)の空気中で蒸気として存在するものはどれか。
ただし、蒸気とは、常温・常圧で液体又は固体の物質が蒸気圧に応じて揮発又は昇華して気体となっているものをいうものとする。
(1)アクリロニトリル
(2)アンモニア
(3)エチレンオキシド
(4)二酸化硫黄
(5)ホルムアルデヒド
(1)アクリロニトリルは、蒸気として存在します。
(2)アンモニアは、ガスとして存在します。
(3)エチレンオキシドは、ガスとして存在します。
(4)二酸化硫黄は、ガスとして存在します。
(5)ホルムアルデヒドは、ガスとして存在します。
問12 化学物質等による疾病のリスクの低減措置について、法令に定められた措置以外の措置を検討する場合、優先度の最も高いものは次のうちどれか。
(1)作業手順の改善
(2)化学物質等に係る機械設備等の密閉化
(3)危険性又は有害性のより低い物質への代替
(4)化学物質等の有害性に応じた有効な保護具の使用
(5)化学物質等に係る機械設備等への局所排気装置の設置
業務上の疾病リスクを減らすことができる根本的な対策ほど優先度の高いものになります。
優先度の高い順に、(3)(2)(5)(1)(4)となります。
問13 有機溶剤に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)有機溶剤は、一般に揮発性が高く、その蒸気は空気より軽い。
(2)有機溶剤は、脂溶性が低いため、脂肪の多い脳などには入りにくい。
(3)メタノールによる障害として顕著なものには、網膜の微細動脈瘤(りゅう)を伴う脳血管障害がある。
(4)二硫化炭素は、精神障害や意識障害を起こすことがある。
(5)N,N-ジメチルホルムアミドによる障害として顕著なものには、視力低下を伴う視神経障害がある。
(1)は誤り。有機溶剤の蒸気は、一般に空気より重いという特徴があります。
(2)は誤り。すべて脂溶性であり、脂肪の多い脳などに入りやすい特徴があります。
(3)は誤り。メタノールによる障害は、主に視力障害が特徴で、脳血管障害は見られません。
(4)は正しい。
(5)は誤り。N,N-ジメチルホルムアミドによる障害として、頭痛、めまい、肝機能障害、消化不良があります。
問14 厚生労働省の「騒音障害防止のためのガイドライン」に基づく騒音障害防止対策に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)衛生管理者、安全衛生推進者等から騒音障害防止対策の管理者を選任し、ガイドラインで定める事項に取り組ませる必要がある。
(2)騒音対策としては、騒音発生源対策、伝ぱ経路対策、受音者対策(聴覚保護具の使用、作業時間の制限)があるが、このうち聴覚保護具の使用が最優先の対策である。
(3)屋内作業場では、原則として作業環境測定(定点測定)により等価騒音レベルの測定を行うが、騒音源が移動する場合には、個人ばく露測定により測定することができる。
(4)雇い入れの際の騒音健康診断では、250Hz、500Hz、1,000Hz、2,000Hz、4,000Hz、6,000Hz及び8,000Hzにおける聴力の検査を行う。
(5)騒音健康診断結果に基づく事後措置を講じる際には、加齢性難聴の影響を考慮する必要がある。
答え(2)
(1)(3)(4)(5)は適切です。
(2)は適切でない。
騒音対策には、次のものがあります。
①騒音発生源対策(低騒音機械への変更、機械の改善など)
②伝ぱ経路対策(遮音、防音壁、吸音材の設置など)
③受音者対策(聴覚保護具(耳栓・イヤーマフ)の使用、作業時間の短縮など)
問15 有害光線などによる障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)赤外線は、可視光線より波長が長い電磁波で、ガラス加工作業などでばく露のおそれがあり、白内障を起こすことがある。
(2)紫外線は、可視光線より波長が短い電磁波で、アーク溶接作業などでばく露のおそれがあり、電光性眼炎を起こすことがある。
(3)レーザー光線は、誘導放出による光の増幅によって人工的に作られた電磁波で、レーザー機器による金属加工作業などでばく露のおそれがあり、網膜の損傷を起こすことがある。
(4)マイクロ波は、赤外線より波長が長い電磁波で、熱接着加工作業などでばく露のおそれがあり、組織壊(え)死を起こすことがある。
(5)アルファ線は、セシウム137などの原子核から放出される電磁波で、物体への透過力が強く、非破壊検査作業などでばく露のおそれがあり、角膜の損傷を起こすことがある。
(1)(2)(3)(4)は正しい。
(5)は誤り。ガンマ線は、セシウム137などの原子核から放出される電磁波で、物体への透過力が強く、非破壊検査作業などでばく露のおそれがあります。
アルファ線ではありません。
アルファ線は、粒子線で、透過力は非常に弱いです。
問16 労働衛生保護具に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)直結式防毒マスクは、隔離式防毒マスクよりも有害ガスの濃度が高い大気中で使用することができる。
(2)ガス又は蒸気状の有害物質が粉じんと混在している作業環境中で防毒マスクを使用するときは、防じん機能を有する防毒マスクを選択する。
(3)酸素濃度18%未満の場所で使用できる呼吸用保護具には、送気マスク、空気呼吸器のほか、酸素呼吸器がある。
(4)聴覚保護具は、日本産業規格(JIS)に規定する試験方法により測定された遮音値を目安に、必要かつ十分な遮音値のものを選定する。
(5)保護めがねは、研磨、化学薬品取扱いなどの作業で、飛散する粒子、薬品の飛沫(まつ)などによる眼の障害を防止するために使用する。
(1)は誤り。隔離式防毒マスクは、直結式防毒マスクよりも有害ガスの濃度が高い大気中で使用することができます。直結式防毒マスクと隔離式防毒マスクの記述が逆です。
(2)(3)(4)(5)は正しい。
問17 金属などによる健康障害に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)カドミウム中毒では、感情不安定、幻覚などの精神障害や手指の震えなどの症状がみられる。
(2)クロム中毒では、貧血、腹部の疝(せん)痛などの症状がみられる。
(3)ベリリウム中毒では、溶血性貧血、尿の赤色化などの症状がみられる。
(4)マンガン中毒では、指の骨の溶解、肝臓の血管肉腫などがみられる。
(5)金属水銀の標的臓器は脳で、その中毒では、手指の震え、精神障害などがみられる。
(1)は誤り。カドミウム中毒では、上気道炎、肺炎、肺気腫、腎障害などの症状がみられます。
(2)は誤り。クロム中毒では、鼻中隔穿孔、皮膚障害などの症状がみられます。
(3)は誤り。ベリリウム中毒では、接触性皮膚炎、肺炎などの症状がみられます。
(4)は誤り。マンガン中毒では、筋のこわばり、震え、歩行困難などのパーキンソン病に似た神経症状などの症状がみられます。
(5)は正しい。金属水銀中毒では、手指の震え、感情不安定、幻覚や錯乱などの精神障害などの症状がみられます。
問18 局所排気装置に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)建築ブース型フードは、作業面を除き周りが覆われているもので、囲い式フードに分類される。
(2)外付け式フードは、有害物質の発散源の近くで有害物質を吸い込み気流によりフードまで吸引するものであり、囲い式フードと比較して吸い込み時の圧力損失が小さく、少ない排風量とすることができる。
(3)フード開口部の周囲にフランジを付けることにより、フランジがないときと比較して、少ない排風量とすることができる。
(4)ダクトの形状には円形、角形などがあるが、その断面積を小さくすると、ダクトの圧力損失が増大する。
(5)排風機には、遠心式と軸流式があるが、いずれの方式の排風機も、一般に、空気清浄装置の後の清浄空気が通る位置に設置する。
(1)(3)(4)(5)は正しい。
(2)は誤り。外付け式フードは、囲い式フードと比較して、より大きな排風量が必要となります。
問19 特殊健康診断に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)有害業務への配置替えの際に行う特殊健康診断には、業務適性の判断と、その後の業務による影響を調べるための基礎資料を得るという目的がある。
(2)特殊健康診断の実施に当たっては、現在の作業内容及び有害要因へのばく露状況を把握する必要がある。
(3)体内に取り込まれた多くの有機溶剤は、生物学的半減期が短いので、有機溶剤等健康診断における尿中の代謝物の量の検査のための採尿の時刻は、厳重にチェックする必要がある。
(4)眼底検査は、電離放射線健康診断で実施され、動脈硬化の進展の有無を検査する。
(5)振動工具取扱い作業者に対する特殊健康診断を1年に2回実施する場合、そのうち1回は冬季に行うとよい。
(1)(2)(3)(5)は正しい。
電離放射線健康診断では、白内障の有無、皮膚の状態、被ばく歴など、放射線業務に関連する検査を行います。動脈硬化の進展の有無の検査は行いません。
問20 有害化学物質とその生物学的モニタリングの指標として用いられる尿中の代謝物等との組合せとして、誤っているものは次のうちどれか。
(1)鉛 ……………………………………… デルタアミノレブリン酸
(2)スチレン ……………………………… 馬尿酸
(3)キシレン ……………………………… メチル馬尿酸
(4)ノルマルヘキサン …………………… 2,5-ヘキサンジオン
(5)トリクロロエチレン ………………… トリクロロ酢酸
(1)(3)(4)(5)は正しい。
(2)スチレンの生物学的モニタリングの指標では、尿中のマンデル酸およびフェニルグリオキシル酸の総量があります。
馬尿酸は、トルエンの尿中の代謝物です。
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