衛生管理者の過去問の解説:労働生理(2025年10月)
ここでは、2025年(令和7年)10月公表の過去問のうち「労働生理」の10問について解説いたします。
この過去問は、第1種衛生管理者、第2種衛生管理者の試験の範囲です。
なお、特例第1種衛生管理者試験の範囲には含まれません。
それぞれの科目の解説は、下記ページからどうぞ。
◆衛生管理者の過去問の解説:関係法令:有害(2025年10月)
◆衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:有害(2025年10月)
◆衛生管理者の過去問の解説:関係法令:一般(2025年10月)
◆衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:一般(2025年10月)
◆衛生管理者の過去問の解説:労働生理(2025年10月)
問21 腎臓又は尿に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)血中の蛋(たん)白質は、糸球体からボウマン嚢(のう)に濾(こ)し出される。
(2)血中の老廃物は、尿細管からボウマン嚢(のう)に濾(こ)し出される。
(3)原尿中に濾(こ)し 出された水分の大部分は、そのまま尿として排出される。
(4)尿は淡黄色の液体で、固有の臭気を有し、通常、弱アルカリ性である。
(5)原尿中に濾(こ)し出された電解質の多くは、尿細管から血中に再吸収される。
(1)は誤り。腎小体を通る血液中の血球および蛋白質以外の成分(水分、電解質(ナトリウム、カリウム等)、グルコース(糖)、老廃物)は、「糸球体」から「ボウマン嚢」中に濾し出され、原尿が生成されます。つまり、蛋白質は濾過されません。
(2)は誤り。(1)の解答を参照してください。老廃物は「糸球体」で濾過されます。
(3)は誤り。原尿は、その通り道である尿細管に入りますが、原尿に含まれる大部分の水分、電解質、糖やアミノ酸などの栄養物質が「尿細管」において血液中に再吸収されます。
(4)は誤り。尿は、通常、弱酸性です。
(5)は正しい。
問22 心臓及び血液循環に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)心臓の中にある洞結節(洞房結節)で発生した刺激が、刺激伝導系を介して心筋に伝わることにより、心臓は規則正しく収縮と拡張を繰り返す。
(2)心臓の拍動は、自律神経の支配を受けている。
(3)体循環では、血液は左心室から大動脈に入り、静脈血となって右心房に戻ってくる。
(4)肺循環とは、右心室から肺静脈を経て肺の毛細血管に入り、肺動脈を通って左心房に戻る血液の循環をいう。
(5)動脈硬化とは、コレステロールの蓄積などにより、動脈壁が肥厚・硬化して弾力性を失った状態であり、進行すると血管の狭窄(さく)や閉塞を招き、臓器への酸素や栄養分の供給が妨げられる。
(1)(2)(4)(5)は正しい。
(4)は誤り。肺循環とは、右心室から肺動脈を経て肺の毛細血管に入り、肺静脈を通って左心房に戻る血液の循環をいいます。
問23 ヒトのホルモン、その内分泌器官及びそのはたらきの組合せとして、誤っているものは次のうちどれか。
A:ホルモン B:内分泌器官 C:はたらき
(1)A:コルチゾール B:副腎皮質 C:血糖量の増加
(2)A:アルドステロン B:副腎皮質 C:体液中の塩類バランスの調節
(3)A:メラトニン B:副甲状腺 C:体液中のカルシウムバランスの調節
(4)A:インスリン B:膵(すい)臓 C:血糖量の減少
(5)A:グルカゴン B:膵(すい)臓 C:血糖量の増加
(1)(2)(4)(5)は正しい。
(3)は誤り。メラトニンは松果体(脳)で分泌され、睡眠調節に関与し、副甲状腺で分泌されるものではありません。またカルシウムバランスの調節の役割も担いません。
問24 蛋白(たん)質並びにその分解、吸収及び代謝に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)蛋(たん)白質は、約20種類のアミノ酸が結合してできており、内臓、筋肉、皮膚など人体の臓器等を構成する主成分である。
(2)蛋(たん)白質は、膵(すい)臓から分泌される消化酵素である膵(すい)リパーゼなどによりアミノ酸に分解され、小腸から吸収される。
(3)血液循環に入ったアミノ酸は、体内の各組織において蛋(たん)白質に再合成される。
(4)肝臓では、アミノ酸から血漿(しょう)蛋(たん)白質が合成される。
(5)飢餓時には、肝臓などでアミノ酸などからブドウ糖を生成する糖新生が行われる。
(1)(3)(4)(5)は正しい。
(2)は誤り。蛋白質は、膵リパーゼではなく、膵トリプシンなどの消化酵素によりアミノ酸に分解されます。膵リパーゼは脂肪を分解する酵素です。
問25 消化器系に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)十二指腸に胃から酸性の消化物が入ってくると、アルカリ性の膵(すい)液が分泌され、酸を中和する。
(2)無機塩及びビタミン類は、酵素による分解を受けないでそのまま吸収される。
(3)胆汁はアルカリ性で、蛋(たん)白質を分解するトリプシンなどの消化酵素を含んでいる。
(4)ペプシノーゲンは、胃酸によってペプシンという消化酵素になり、蛋(たん)白質を分解する。
(5)小腸の表面は、ビロード状の絨(じゅう)毛という小突起で覆われており、栄養素の吸収の効率を上げるために役立っている。
(1)(2)(4)(5)は正しい。
(3)は誤り。胆汁はアルカリ性の消化液ですが、消化酵素を含みません。胆汁は脂肪分解の働きを助けます。
問26 血液に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)赤血球は、骨髄で産生され、寿命は約120日で、血球の中で最も多い。
(2)血液中に占める赤血球の容積の割合をヘマトクリットといい、貧血になるとその値は低くなる。
(3)好中球は、白血球の約60%を占め、偽足を出してアメーバ様運動を行い、体内に侵入してきた細菌などを貪食する。
(4)リンパ球は、白血球の約30%を占め、Tリンパ球、Bリンパ球などの種類があり、免疫反応に関与している。
(5)ABO式血液型は、白血球による血液型分類の一つで、A型血液の血清は抗B抗体をもつ。
(1)(2)(3)(4)は正しい。
(5)は誤り。ABO式血液型は赤血球表面の抗原と血清中の抗体の組み合わせで分けられます。
A型の血清には抗B抗体が含まれますが、分類は赤血球上のA抗原やB抗原が基準で、白血球ではありません。
問27 神経系に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)神経系は、中枢神経系と末梢(しょう)神経系に大別され、中枢神経系は脳と脊髄から成る。
(2)大脳の内側の髄質は、神経細胞の細胞体が集合した灰白質で、感覚、運動、思考などの作用を支配する中枢として機能する。
(3)神経系を構成する基本的な単位である神経細胞は、通常、1個の細胞体、1本の軸索、複数の樹状突起から成り、ニューロンともいわれる。
(4)交感神経系は、心拍数を増加したり、消化管の運動を抑制する。
(5)体性神経には感覚器官からの情報を中枢に伝える感覚神経と、中枢からの命令を運動器官に伝える運動神経がある。
(1)(3)(4)(5)は正しい。
(2)は誤り。大脳の外側の皮質は、神経細胞の細胞体が集合した灰白質で、感覚、運動、思考などの作用を支配する中枢です。
問28 筋肉に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)刺激に対して意識とは無関係に起こる定型的な反応を反射といい、最も単純な反射には膝(しつ)蓋腱(けん)反射などの伸張反射がある。
(2)筋肉が収縮して出す最大筋力は、筋肉の単位断面積当たりの平均値をとると、性差や年齢差はほとんどない。
(3)運動することによって筋肉が太くなることを筋肉の活動性肥大という。
(4)荷物を持ち上げたり屈伸運動をするとき、関節運動に関与する筋肉には、等張性収縮が生じている。
(5)筋肉中のグリコーゲンは、酸素が十分に供給されると完全に分解され、最後に乳酸になる。
(1)(2)(3)(4)は正しい。
(5)は誤り。酸素が十分にあるとグリコーゲンは最終的に炭酸ガスと水になる好気的代謝が進行し、乳酸ではなく二酸化炭素になります。
乳酸は酸素が不足する無酸素代謝で生成されます。
問29 体温調節に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)寒冷な環境においては、皮膚の血管が拡張して血流量を増し、皮膚温を上昇させる。
(2)暑熱な環境においては、内臓の血流量が増加し体内の代謝活動が亢(こう)進することにより、人体からの熱の放散が促進される。
(3)体温調節のように、外部環境が変化しても身体内部の状態を一定に保つ生体の仕組みを同調性といい、筋肉と神経系により調整されている。
(4)体温調節中枢は、小脳にあり、熱の産生と放散のバランスを維持し体温を一定に保つよう機能している。
(5)甲状腺ホルモンの分泌により、代謝が亢(こう)進し、体温は上昇する。
(1)は誤り。寒冷環境では、皮膚の血管は収縮します。
(2)は誤り。暑熱環境では、皮膚の血流量が増え、熱の放散を促進します。
(3)は誤り。体温調節は「同調性」ではなく「恒常性」です。
(4)は誤り。体温調節中枢は小脳ではなく、間脳の視床下部にあります。
(5)は正しい。甲状腺ホルモンは代謝を促進し、体温を上昇させます。
問30 ストレスに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)外部からの刺激であるストレッサーは、その形態や程度にかかわらず、自律神経系と内分泌系を介して、心身の活動を抑圧する。
(2)ストレスに伴う心身の反応には、ノルアドレナリン、アドレナリンなどのカテコールアミンや副腎皮質ホルモンが深く関与している。
(3)昇進、転勤、配置替えなどがストレスの原因となることがある。
(4)職場環境における騒音、気温、湿度、悪臭などがストレスの原因となることがある。
(5)ストレスにより、自律神経系と内分泌系のバランスが崩れ、精神神経科的疾患又は内科的疾患が生じる場合がある。
(1)は誤り。適度なストレッサー(外部環境からの刺激)は、身体的には活動を亢進し、心理的には意欲の向上を生じさせます。ただし、過度なストレッサーは、身体的に疲労が生じ、心理的には不安感を生じさせます。
(2)(3)(4)(5)は正しい。
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