衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:有害(2025年10月)
ここでは、2025年(令和7年)10月公表の過去問のうち「労働衛生:有害(有害業務に係るもの)」の10問について解説いたします。
この過去問は、第1種衛生管理者、特例第1種衛生管理者の試験の範囲です。
なお、第2種衛生管理者試験の範囲には含まれません。
それぞれの科目の解説は、下記ページからどうぞ。
◆衛生管理者の過去問の解説:関係法令:有害(2025年10月)
◆衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:有害(2025年10月)
◆衛生管理者の過去問の解説:関係法令:一般(2025年10月)
◆衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:一般(2025年10月)
◆衛生管理者の過去問の解説:労働生理(2025年10月)
問11 化学物質とその常温・常圧(25℃、1気圧)での空気中における状態との組合せとして、誤っているものは次のうちどれか。
ただし、ガスとは、常温・常圧で気体のものをいい、蒸気とは、常温・常圧で液体又は固体の物質が蒸気圧に応じて揮発又は昇華して気体となっているものをいうものとする。
(1)ホルムアルデヒド ……………………… ガス
(2)塩化ビニル ……………………………… ガス
(3)アクリロニトリル ……………………… ガス
(4)二硫化炭素 ……………………………… 蒸気
(5)アセトン ………………………………… 蒸気
(1)(2)(4)(5)は正しい。
(3)は誤り。アクリロニトリルは、常温・常圧(25℃、1気圧)では液体です。したがって、「蒸気」が正しいです。
問12 金属などによる健康障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)ベリリウム中毒では、溶血性貧血、尿の赤色化などの症状がみられる。
(2)砒(ひ)素中毒では、角化症、黒皮症などの皮膚障害、末梢(しょう)神経障害などがみられる。
(3)マンガン中毒では、筋のこわばり、震え、歩行困難などのパーキンソン病に似た症状がみられる。
(4)カドミウム中毒では、上気道炎、肺炎、腎機能障害などがみられる。
(5)金属水銀中毒では、感情不安定、幻覚などの精神障害がみられる。
(1)は誤り。ベリリウムでは、触性皮膚炎、肺炎、ベリリウム肺などの症状がみられます。
(2)(3)(4)(5)は正しい。
問13 粉じんによる健康障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)米杉、ラワンなどの木材粉じんは、ぜんそくを起こすことがある。
(2)じん肺の自覚症状は、初期にはあまりみられないが、進行すると咳(せき)、痰(たん)、呼吸困難などがみられる。
(3)じん肺は、続発性気管支炎、肺結核などを合併することがある。
(4)石綿肺では、胸膜の肥厚(プラーク)、胸膜の石灰化などがみられる。
(5)けい肺は、鉄、アルミニウムなどの金属粉じんを吸入することによって発症するじん肺である。
(1)(2)(3)(4)は正しい。
(5)は誤り。けい肺は主に遊離けい酸(シリカ)を含む粉じんの吸入によって発症します。鉄やアルミニウムの粉じんは、けい肺の原因ではありません。
問14 作業環境における騒音及びそれによる健康障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)騒音性難聴の初期に認められる4,000Hz付近の音から始まる聴力低下の型をC5dipという。
(2)音圧レベルは、通常、人間が聴くことができる最も小さな音圧に対する比の常用対数を20倍して求められる。
(3)騒音は、自律神経系や内分泌系へも影響を与えるため、騒音ばく露により、交感神経の活動の亢(こう)進や副腎皮質ホルモンの分泌の増加が認められることがある。
(4)人が聴くことのできる音の周波数は、10Hzから30,000Hz程度までであり、このうち会話音域は2,000Hzから4,000Hz程度までである。
(5)等価騒音レベルは、時間的に変動する騒音レベルのエネルギー的な平均値を表す量で、変動する騒音に対する人間の生理・心理的反応とよく対応している。
(1)(2)(3)(5)は正しい。
(4)は誤り。人が聴くことのできる音の周波数(音の高さ)は、20Hzから20,000Hz程度です。また、会話音域は500Hzから2,000Hz程度です。
問15 厚生労働省の「化学物質等による危険性又は有害性等の調査等に関する指針」に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)リスクアセスメントの基本的手順のうち最初に実施するのは、労働者の就業に係るリスクアセスメント対象物による危険性又は有害性を特定することである。
(2)ハザードは、労働災害発生の可能性と負傷又は疾病の重大性(重篤度)の組合せであると定義される。
(3)リスクアセスメント対象物による疾病のリスク低減措置の検討では、リスクアセスメント対象物の有害性に応じた有効な保護具の使用よりも作業手順の改善、立入禁止等の管理的対策を優先する。
(4)リスクアセスメント対象物による疾病のリスク低減措置の検討では、法令に定められた事項を除けば、危険性又は有害性のより低い物質への代替等を最優先する。
(5)リスクアセスメント対象物による疾病のリスク低減措置の検討に当たっては、より優先順位の高い措置を実施することにした場合であって、当該措置により十分にリスクが低減される場合には、当該措置よりも優先順位の低い措置の検討は必要ない。
(1)(3)(4)(5)は正しい。
(2)は誤り。ハザードは、危険性または有害性と定義されます。
問16 有機溶剤の人体に対する影響に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)脂溶性があり、脂肪の多い脳などに入りやすい。
(2)呼吸器の症状には、咳(せき)、上気道の炎症などがある。
(3)低濃度の繰り返しばく露による慢性中毒では、めまい、不眠などの不定愁訴がみられる。
(4)皮膚や粘膜に対する症状には、黒皮症、鼻中隔穿(せん)孔などがある。
(5)肝機能障害や腎機能障害を起こすものがある。
(1)(2)(3)(5)は正しい。
(4)は誤り。皮膚や粘膜の症状として、湿疹、皮膚の角化、亀裂、結膜炎などがみられます。
問17 特殊健康診断に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)有害業務への配置替えの際に行う特殊健康診断には、業務適性の判断と、その後の業務による影響を調べるための基礎資料を得るという目的がある。
(2)特殊健康診断が法定労働時間外に行われた場合には、割増賃金を支払う必要がある。
(3)眼底検査は、電離放射線健康診断で実施され、動脈硬化の進展の有無を検査する。
(4)振動工具取扱い作業者に対する特殊健康診断を1年に2回実施する場合、そのうち1回は冬季に行うとよい。
(5)特殊健康診断において適切な健診デザインを行うためには、作業内容と有害要因へのばく露状況を把握する必要がある。
(1)(2)(4)(5)は正しい。
(3)は誤り。眼底検査は、二硫化炭素を取り扱う労働者に対して、有機溶剤等健康診断で実施される検査項目です。
電離放射線健康診断で実施される項目として、「白血球数及び白血球百分率の検査」「皮膚の検査」などがあります。
問18 厚生労働省の「作業環境測定基準」及び「作業環境評価基準」に基づく作業環境測定及びその結果の評価に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)A測定の第二評価値が管理濃度を超えている単位作業場所は、B測定の結果に関係なく第三管理区分になる。
(2)A測定における測定点の高さの範囲は、床上100cm以上150cm以下である。
(3)A測定は、原材料を反応槽へ投入する場合など、間欠的に大量の有害物質の発散を伴う作業における最高濃度を知るために行う測定である。
(4)評価の指標として用いられる管理濃度は、個々の労働者の有害物質へのばく露限界を示すものである。
(5)B測定の測定値が管理濃度を超えている単位作業場所は、A測定の結果に関係なく第三管理区分になる。
(1)は正しい。そのとおりです。
(2)は誤り。A測定における測定点の高さの範囲は、床上50cm以上150cm以下(騒音の場合は120cm以上150cm以下)です。
(3)は誤り。A測定は、単位作業場所における有害物質の気中濃度の平均的な分布を知るために行う測定です。
(4)は誤り。管理濃度は、有害物質に関する作業環境の状態を、単位作業場所の作業環境測定結果から評価するための指標として、行政的見地から設定されたものです。なお、個々の労働者の有害物質へのばく露限界を示すものとてして、許容濃度があります。
(5)は誤り。B測定の測定値が管理濃度の1.5倍を超えている場合は、A測定の結果に関係なく第三管理区分となります。1.5倍という記述が抜けています。
問19 呼吸用保護具に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)防毒マスクの吸収缶の色は、アンモニア用は緑色で、有機ガス用は黒色である。
(2)2種類以上の有害ガスが混在している場合には、そのうち最も毒性の強いガス用の防毒マスクを使用する。
(3)型式検定合格標章のある防じんマスクでも、ヒュームのような微細な粒子に対しては効果がない。
(4)防じんマスクは、オイルミストが堆積しても粒子捕集効率は低下しないので、吸気抵抗が上昇しない限り使用することができる。
(5)エアラインマスクは、自給式呼吸器の一種である。
(1)は正しい。
(2)は誤り。2種類以上の有毒ガス等が混在する作業環境中で防毒マスクを使用する場合には、作業環境中に混在する2種類以上の有毒ガス等についてそれぞれ合格した吸収缶を選定しなければなりません。
(3)は誤り。型式検定合格標章のある防じんマスク(使い捨て式を含む)は、ヒュームのような微細な粒子(粒径1μm程度)に対しても有効です。
(4)は誤り。オイルミスト(切削油の微粒子など)を捕集した場合は、固体粒子の場合とは異なり、ほとんど吸気抵抗の上昇がありません。ただし、ろ過材の種類によっては、多量のオイルミストを捕集すると、粒子捕集効率が低下するものもあるので、製造者の情報に基づいてろ過材の交換時期を設定しなければなりません。
(5)は誤り。エアラインマスクは、送気マスクの一種です。
問20 作業環境における有害要因による健康障害に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)電離放射線の被ばくによる白内障は、晩発障害に分類され、被ばく後、半年~30年後に現れる。
(2)マイクロ波は、赤外線より波長が短い電磁波で、照射部位の組織を加熱する作用がある。
(3)金属熱は、金属の溶融作業において、高温環境により体温調節中枢が麻痺(ひ)することにより発生し、長期間にわたる発熱、関節痛などの症状がみられる。
(4)凍瘡(そう)は、皮膚組織の凍結壊(え)死を伴うしもやけのことで、0℃以下の寒冷にばく露することによって発生する。
(5)潜水業務における減圧症は、浮上による減圧に伴い、血液中に溶け込んでいた酸素が気泡となり、血管を閉塞したり組織を圧迫することにより発生する。
(1)は正しい。
(2)は誤り。マイクロ波は、赤外線より波長が長く、加熱作用があります。
(3)は誤り。金属熱は、金属蒸気の吸入による一過性の発熱症状で、高温環境は直接関係ありません。
(4)は誤り。凍瘡は、0℃以下の環境によるものではなく、寒冷環境での血流の低下によって起こる皮膚の炎症(しもやけ)です。0℃以下でのばく露による皮膚の凍結壊死は凍傷と呼ばれます。
(5)は誤り。減圧症(ケイソン病)は、高圧環境から急激に減圧されると、血液中に溶けていた窒素が気泡化し、これが血管や組織に詰まり、皮膚のかゆみや関節痛、神経障害を引き起こすことがあります。
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