衛生管理者の過去問の解説:労働生理(2015年10月) | 衛生管理者 講習会・通信講座

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衛生管理者の過去問の解説:労働生理(2015年10月)

ここでは、2015年(平成27年)10月公表の過去問のうち「労働生理」の10問について解説いたします。
この過去問は、第一種衛生管理者、第二種衛生管理者の試験の範囲です。
なお、特例第一種衛生管理者試験の範囲には含まれません。

それぞれの科目の解説は、下記ページからどうぞ。

衛生管理者の過去問の解説:関係法令:有害(2015年10月)
衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:有害(2015年10月)
衛生管理者の過去問の解説:関係法令:一般(2015年10月)
衛生管理者の過去問の解説:労働衛生:一般(2015年10月)
衛生管理者の過去問の解説:労働生理(2015年10月)



問21 神経系に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)神経細胞(ニューロン)は、神経系を構成する基本的な単位で、通常、1個の細胞体、1本の軸索、複数の樹状突起から成る。
(2)中枢神経系は脳と脊髄から成り、末梢神経系は体性神経系と自律神経系から成る。
(3)大脳の内側の髄質は神経細胞の細胞体が集合した灰白質であり、外側の皮質は神経線維の多い白質である。
(4)体性神経系には感覚器官からの情報を中枢に伝える感覚神経と、中枢からの命令を運動器官に伝える運動神経がある。
(5)自律神経系は、交感神経系と副交感神経系とに分類され、双方の神経系は多くの臓器に対して相反する作用を有している。


答え(3)
(1)は正しい。ちなみに、神経細胞内を情報が伝わっていくことを伝導といいます。情報は、樹状突起で受け取られ軸索を伝わって運ばれます。
(2)は正しい。さらに、体性神経系は「感覚神経(知覚神経)」と「運動神経」に、自律神経系は「交感神経」と「副交感神経」から成っています。
(3)は誤り。大脳の内側の髄質は、有髄神経線維の多い白質です。一方、大脳の外側の皮質は神経細胞の細胞体が集まった灰白質です。
(4)は正しい。たとえば、手のひらを針で刺すとその刺激は、感覚神経を通り脳に伝えられます。一方で、指を動かそうとする命令は、脳から運動神経を通って指に伝えられます。
(5)は正しい。各種臓器に対して交感神経系と副交感神経系の両方の神経線維が支配しており、これを二重支配といいます。



問22 心臓の働きと血液の循環に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)心筋は、意志と無関係に動く不随意筋である平滑筋から成り、自動的に収縮と拡張を繰り返す。
(2)体循環では血液は左心室から大動脈に入り、静脈血となって右心房に戻ってくる。
(3)肺循環では、血液は右心室から肺動脈を経て肺の毛細血管に入り、肺静脈を通って左心房に戻ってくる。
(4)肺を除く各組織の毛細血管を通過する血液の流れは、体循環の一部である。
(5)大動脈を流れる血液は動脈血であるが、肺動脈を流れる血液は静脈血である。


答え(1)
(1)は誤り。心筋は、不随意筋で、骨格筋と同様に「横紋筋」から成り、自動的に収縮と拡張をくり返します。
(2)は正しい。肺を除く各組織の毛細血管を通過する血液の流れが、体循環です。
(3)は正しい。肺循環は、二酸化炭素と酸素のガス交換を行うための循環です。
(4)は正しい。体循環は、全身の器官・臓器に、酸素、栄養物、ホルモン、ビタミンなどを供給するために行われます。
(5)は正しい。動脈と静脈は「血管」のことをいい、動脈血と静脈血は「血液」のことをいいます。生物学では心臓から出る血管のことを動脈というため、肺動脈では静脈血、肺静脈では動脈血というように、名称に矛盾が生じます。
動脈血は酸素をたくさん含む血液です。一方、静脈血は、二酸化炭素をたくさん含む血液のことです。



問23 呼吸に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)呼吸運動は、主として肋間筋と横隔膜の協調運動によって胸郭内容積を周期的に増減し、それに伴って肺を伸縮させることにより行われる。
(2)胸郭内容積が増し、内圧が低くなるにつれ、鼻腔や気管などの気道を経て肺内へ流れ込む空気が吸気である。
(3)肺胞内の空気と肺胞を取り巻く毛細血管中の血液との間で行われるガス交換は、外呼吸である。
(4)呼吸に関与する筋肉は、小脳にある呼吸中枢によって支配されている。
(5)身体活動時には、血液中の二酸化炭素分圧の上昇などにより呼吸中枢が刺激され、1回換気量及び呼吸数が増加する。


答え(4)
(4)は誤り。呼吸に関与する筋肉は、「延髄」にある呼吸中枢によって支配されています。
(1)(2)(3)(5)は正しい。



問24 成人の肝臓の機能として、誤っているものは次のうちどれか。

(1)脂肪酸の分解及びコレステロールの合成
(2)胆汁の生成
(3)赤血球の産生及び分解
(4)アルコールなどの身体に有害な物質の分解
(5)グリコーゲンの合成及び分解


答え(3)
(3)は誤り。赤血球は骨の中にある骨髄で合成されます。また、古くなった赤血球は、主に脾臓(ひぞう)という臓器で分解されて、分解物は肝臓に送られます。
(1)(2)(4)(5)は正しい。



問25 腎臓・泌尿器系に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)腎臓の皮質にある腎小体では、糸球体から血液中の血球、糖及び蛋白質以外の成分がボウマン嚢に濾し出され、原尿が生成される。
(2)腎臓の尿細管では、原尿に含まれる大部分の水分及び身体に必要な成分が血液中に再吸収され、残りが尿として生成される。
(3)尿は淡黄色の液体で、固有の臭気を有し、通常、弱酸性である。
(4)尿の生成・排出により、体内の水分の量やナトリウムなどの電解質の濃度を調節するとともに、生命活動によって生じた不要な物質を排出する。
(5)尿の約95%は水分で、残りの約5%が固形物であるが、その成分が全身の健康状態をよく反映するので、尿検査は健康診断などで広く行われている。


答え(1)
(1)は誤り。腎小体を通る血液中の血球及び蛋白質以外の成分は、糸球体からボウマン嚢中に濾し出され、原尿が生成されます。つまり、糖(グルコース)も、ボウマン嚢中に濾し出されます。
(2)(3)(4)(5)は正しい。



問26 蛋白質並びにその分解、吸収及び代謝に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)蛋白質は、約20種類のアミノ酸が結合してできており、内臓、筋肉、皮膚など人体の臓器などを構成する主成分である。
(2)蛋白質は、膵臓から分泌される消化酵素である膵リパーゼなどによりアミノ酸に分解され、小腸から吸収される。
(3)血液循環に入ったアミノ酸は、体内の各組織において蛋白質に再合成される。
(4)肝臓では、アミノ酸から多くの血漿蛋白質が合成される。
(5)飢餓時には、肝臓などでアミノ酸などからブドウ糖を生成する糖新生が行われる。


答え(2)
(2)は誤り。膵臓(すいぞう)から分泌される消化酵素である膵リパーゼは、脂肪の消化酵素です。蛋白質は、ペプシン、トリプシンなどの消化酵素で分解され、小腸から吸収されます。
(1)(3)(4)(5)は正しい。



問27 視覚に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)眼をカメラにたとえると、虹彩はしぼりの働きをする。
(2)眼は、硝子体の厚さを変えることにより焦点距離を調節して網膜の上に像を結ぶようにしている。
(3)角膜が歪んでいたり、表面に凹凸があるために、眼軸などに異常がなくても、物体の像が網膜上に正しく結ばないものを乱視という。
(4)網膜には、明るい所で働き色を感じる錐状体と、暗い所で働き弱い光を感じる杆状体の2種類の視細胞がある。
(5)明るいところから急に暗いところに入ると、初めは見えにくいが暗順応によって徐々に見えるようになる。


答え(2)
(2)は誤り。眼は、「水晶体」の厚さを変えることにより焦点距離を調節して網膜の上に像を結ぶようにしています。硝子体(しょうしたい)ではありません。
(1)(3)(4)(5)は正しい。



問28 筋肉に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)筋肉の縮む速さが速ければ速いほど、仕事の効率は大きい。
(2)筋肉は神経からの刺激によって収縮するが、神経より疲労しにくい。
(3)荷物を持ち上げたり、屈伸運動を行うときは、筋肉が長さを変えずに外力に抵抗して筋力を発生させる等尺性収縮が生じている。
(4)強い力を必要とする運動を続けていても、筋肉を構成する個々の筋線維の太さは変わらないが、その数が増えることによって筋肉が太くなり筋力が増強する。
(5)刺激に対して意識とは無関係に起こる定型的な反応を反射といい、最も単純な反射には、膝蓋腱反射などの伸張反射がある。


答え(5)
(1)は誤り。筋肉の縮む速さが適当なときに、仕事の効率は最も大きくなります。
(2)は誤り。筋肉は、神経から送られてくる刺激によって収縮しますが、神経に比べて疲労しやすいという特徴を持っています。
(3)は誤り。荷物を持ち上げたり屈伸運動をするとき、関節運動に関与する筋肉には、「等張性収縮」が生じています。
(4)は誤り。強い力を必要とする運動を続けていると、1本1本の筋線維が太くなるので、筋力が増加します。運動を行っても筋線維の数は、大人になってからは増えないとされています。
(5)は正しい。膝蓋腱反射は、「しつがいけんはんしゃ」と読みます。



問29 体温調節に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)体温調節中枢は、間脳の視床下部にある。
(2)体温調節のように、外部環境が変化しても身体内部の状態を一定に保つ生体の仕組みを同調性といい、筋肉と神経系により調整されている。
(3)寒冷にさらされ体温が正常より低くなると、皮膚の血管が拡張して血流量を増し、皮膚温を上昇させる。
(4)不感蒸泄とは、水分が発汗により失われることをいう。
(5)温熱性発汗は、全身でみられるが、特に足の裏で多い。


答え(1)
(1)は正しい。
(2)は誤り。外部環境などが変化しても身体内部の状態を一定に保つ仕組みを恒常性(ホメオスタシス)といい、主に神経系と内分泌系により調節されています。
(3)は誤り。寒冷にさらされ体温が正常以下になると、体内の代謝活動が亢進することにより熱の生産量を増やし、皮膚の血管が収縮して皮膚の血流量を減少し、皮膚温を低下させ人体からの放熱が抑制されます。
(4)は誤り。発汗のない状態でも皮膚及び呼吸器から水の蒸発があり、これを不感蒸泄(ふかんじょうせつ)といいます。
(5)は誤り。発汗には温熱性発汗と精神性発汗があります。温熱性発汗は、全身で見られます。一方、精神性発汗は、手のひら、足の裏、腋などに多く見られます。



問30 ストレスに関する次のAからDまでの記述について、誤っているものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A 外部環境からの刺激すなわちストレッサーは、その強度にかかわらず、自律神経系と内分泌系を介して、心身の活動を抑圧する。
B ストレス反応には、ノルアドレナリン、アドレナリンなどのカテコールアミンや副腎皮質ホルモンが深く関与している。
C ストレス反応は、個人差が大きい。
D 騒音、気温などの物理的要因が職場でのストレッサーとなることはない。

(1)A,B
(2)A,D
(3)B,C
(4)B,D
(5)C,D


答え(2)
Aは誤り。ストレッサーは、その強弱や質に応じて、自律神経系と内分泌系を介して、心身の活動を亢進することになります。
Dは誤り。騒音、気温、湿度、悪臭などの物理的要因が職場でのストレッサーになることがあります。また、ストレッサーの種類が異なっていても、ストレス反応は同様であることがわかっています。
B,Cは正しい。

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